しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2022年4月5日(火)

安倍氏 9条無視の暴論

「軍事中枢を狙え」発言

 自民党の安倍晋三元首相は「敵基地攻撃」論について、「基地に限定する必要はない。中枢を攻撃するべきだ」(3日、山口市)と発言しました。同氏は2月27日のフジテレビ系番組では「『敵基地攻撃』という言葉にこだわらない方がいい。いわば軍事中枢自体を狙っていく、軍事をつかさどるインフラを破壊していく、基地である必要は全然ありません」と述べています。これは「専守防衛」、ひいては憲法9条自体を全く無視した暴論です。

 もともとの「敵基地攻撃」論とは、敵の誘導ミサイルなどによる攻撃を防ぐなど、相手の基地そのものをたたく以外に手段がないときに、やむを得ない手段として「可能」とされてきたもの。本来、わが国に対する攻撃を排除するための「実力行使」は、日本の領域内にとどまり、他国領域には及びえないとされたことのいわば「例外」とされているものです。相手国の基地そのものをたたく以外にないという、やむを得ない軍事的必要性から認め得るとされたもので、針の穴を通すような議論です。

根本が揺らぐ

 ところが、「基地でなくてよい」ということになれば、専守防衛の例外として「やむを得ない」とされた根本が揺らぎます。

 安倍氏の「基地に限定せず、軍事中枢をたたけ」という発言は、「敵基地攻撃」論の本質をあらわすもので、政府組織、国家元首(最高指揮官)の関係諸機関をも攻撃対象とせよというものです。ロシアのプーチン大統領がウクライナに対して行っている戦争行為と違いはなく、憲法9条と全く相いれません。

 安保法制で憲法を破壊し、ウクライナ危機に乗じて「力の論理」を振り回す安倍氏に、もはや憲法の制約など全く見えないかのようです。

さらなる増額

 安倍氏はまた、3日の発言の中で、軍事費の対GDP比2%への引き上げも主張。来年度の当初予算で「6兆円程度」の確保が必要だとも述べました。過去最大となった今年度の軍事予算は5兆3687億円で、さらなる増額を主張しています。

 安倍氏のいう「打撃力」の確保のため、軍事費も天井知らずに増額させる意図が明らかです。そうなれば生活関連予算への大きなしわ寄せとなることも避けられません。(中祖寅一)


pageup