2022年3月30日(水)
盛土規制法案 高橋議員の質問(要旨)
衆院本会議
日本共産党の高橋千鶴子議員が29日の衆院本会議で行った盛土規制法案(宅地造成規制法改正案)に対する質問(要旨)は次の通りです。
昨年7月、静岡県熱海市で発生した土石流災害は、死者27名、行方不明者1名の大惨事でした。不適切な盛土の崩落による「人災」です。こうした危険な盛土は全国に存在し、たびたび崩落事故などを起こし、全国一律の規制、包括的な法律が要望されていました。
法案は被害を生まない決め手になるのか。少なくない地方自治体が土砂条例などを制定しています。しかし、権限や罰則も弱く、条例のない自治体へ土砂が持ち込まれる問題もあります。政府は立法化を避けてきた責任を認め、実効ある法整備を行うべきです。
法案は、盛土により人家などに被害を及ぼし得る区域を規制区域と指定し、区域内で行う盛土などに知事の許可を必要とします。森林や農地まで広く規制区域としますが、区域外への盛土行為は防ぐことができません。土砂災害警戒区域など、盛土行為を禁止する区域を定め、それ以外は区域を定めず、盛土行為を規制対象にすべきではありませんか。
例えばリニア中央新幹線の南アルプス静岡工区のトンネル残土は、標高約1300メートルにある燕沢(つばくろさわ)に置き場をつくる計画です。東京ドーム3倍分にあたります。ここは規制区域に指定できますか。
危険な盛土などの要因の一つが、建設残土の不適切な処理です。熱海の土石流となった土砂は、建設残土である可能性は大いにあります。
総務省「勧告」によると、土砂条例で対応した無許可埋め立て58事案のうち、土砂流出発生が14事案、うち是正は1事案です。建設工事の発注者、残土の発生者責任を明確にし、最終処分先まで管理を行う建設残土の処理に関する法律を盛土規制と一体で制定すべきではありませんか。
工事現場内で利用されなかった建設発生土は2割強、年間5873万立方メートルです。
リニア工事で発生する残土は約5680万立方メートルですが、最終処分先が決まっている量はどれくらいですか。山梨県の南アルプストンネル工事では、最終処分先が決まらず、土砂災害警戒区域内の仮置き場に堆積されているといいます。早急に処分先を確保すべきではありませんか。
公共事業では、発注の際に最終処分先を指定し、契約を結ぶ指定処分が制度化されています。民間工事も義務化すべきです。建設発生土が最終処分先に搬入されているかチェックできるトレーサビリティー制度をつくるべきです。工事発注者は、最終処分場が確保されるまで工事に着手しないようにすべきです。