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2022年3月26日(土)

主張

北朝鮮のICBM

核・ミサイル開発直ちにやめよ

 北朝鮮が新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)とみられるミサイルを発射し、日本の排他的経済水域(EEZ)内に着弾しました。北朝鮮による弾道ミサイル関連のあらゆる活動を禁じた国連安全保障理事会決議に違反する暴挙です。強く非難し、断固抗議します。

自らの約束も破る暴挙

 防衛省によると、弾道ミサイル1発が24日、朝鮮半島西岸付近から東方向に発射され、北海道の渡島(おしま)半島の西約150キロの日本海に落下したと推定されています。落下地点は、日本のEEZ内です。発射された弾道ミサイルの飛翔(ひしょう)距離は約1100キロ、最高高度は6000キロ以上とされます。

 6000キロ以上の飛行高度は、2017年11月に発射されたICBM「火星15」を大きく超えるため、今回のものは新型のICBMとみられています。海外からの報道によると、朝鮮中央通信は25日、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記の命令に基づき、24日に平壌から新型ICBM「火星17」を発射する実験を行ったと報じました。

 岸信夫防衛相は25日の記者会見で、今回発射されたミサイルについて「単純に計算した場合は、弾頭の重さにもよるが、1万5000キロを超える射程となり得る」と、米国の東海岸を含む全土に届く可能性を指摘しました。

 北朝鮮の金総書記は、史上初の米朝首脳会談を控えた18年4月に核実験とICBMの発射実験の停止を表明していました。続く6月の同会談では、朝鮮半島の完全な非核化の意思を示していました。

 朝鮮中央通信によると、金総書記は今回の新型ICBMの発射に関し「強力な核戦争抑止力を質量とも、持続的に強化」すると強調しています。自らの約束を一方的にほごにするものです。

 世界では今、ウクライナを侵略しているロシアのプーチン大統領が核兵器の先制使用という威嚇を行っていることに厳しい抗議・批判の声が上がっています。今回の北朝鮮の暴挙は、核兵器廃絶を求める国際世論に真っ向から逆らうものであり、断じて許されません。北朝鮮は、核・ミサイル開発と関連の活動を直ちに停止し、放棄すべきです。

 一方で、岸田文雄政権は、今回の事態を受け、「いわゆる敵基地攻撃能力の保有を含めあらゆる選択肢を検討し、今後とも防衛力の抜本的な強化に取り組んでいく」(鬼木誠防衛副大臣、24日の記者会見)としています。

 ミサイル発射拠点などを直接たたく「敵基地攻撃能力」保有について、岸防衛相は自衛隊機が相手国領空に侵入して爆撃することも検討の選択肢から「排除しない」と明言しています。安倍晋三元首相は、「敵基地攻撃能力」とは「相手国を殲滅(せんめつ)できる打撃力だ」という趣旨の発言もしています。

 こうした軍事対応の強化は北東アジア地域の緊張をいっそう高め、核戦争という破滅的な事態さえ引き起こしかねません。

国際社会の結束が必要

 核兵器のない世界をつくることは急務です。今年は、6月に核兵器禁止条約第1回締約国会議、8月には核不拡散条約(NPT)再検討会議が開かれます。国際社会はこれらの会議に向けて結束し、核兵器廃絶を各国政府に働きかけるべきです。


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