しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2022年3月23日(水)

日本共産党の参院予算論戦

国民守る戦略的提起

国際連帯広げる奮闘

 2022年度予算が22日の参院本会議で可決、成立しました。日本共産党は、国際秩序を踏みにじるロシアのウクライナ侵略を厳しく糾弾し、国連憲章、国際人道法に基づく国際的な連帯を広げるために奮闘。新自由主義が格差と貧困を生み、経済を弱くした事実を指摘し、その弊害を打開する積極的な提案も発表しました。さらに、猛威をふるうコロナ感染に戦略をもって対策に当たるよう提起しました。参院での国会論戦を振り返ります。

岸田政権のコロナ対策批判

全体像示し国会で議論を

写真

(写真)質問する田村智子議員=2月25日、参院予算委

写真

(写真)質問する伊藤岳議員=11日、参院予算委

写真

(写真)公述人に質問する小池晃議員=8日、参院予算委

写真

(写真)質問する倉林明子議員=7日、参院予算委

 新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」による感染拡大をどう防ぐのか―。日本共産党の志位和夫委員長は2月3日、「オミクロン株という変異株の新しい特徴を踏まえて、ワクチン、検査、医療、暮らしの問題も含めた対応策の全体像をパッケージで国会に提示し、議論することが必要だ」と指摘しました。

 感染力が高く、ピークアウトから減少傾向が遅いオミクロン株について、全国知事会も感染対策の戦略の切り替えを求めていました。

 田村智子議員は2月25日、「コロナ患者も他の患者も救急搬送できない過去最悪の事態が進行している」と追及。「病床稼働率、使用率は余力がある」と答弁する岸田首相に対し、政府が地域医療構想の名で、20年度は急性期病床を中心に2846床削減していると批判しました。

 「保健所やワクチン担当部署で1カ月平均時間外労働が128時間」―。伊藤岳議員は11日、自治労連が公表したコロナ禍で公務員の長時間労働の実態を取り上げ、「人員増が一番の過労死防止策だ」と迫りました。

 また、拡充が急務な検査体制について小池晃書記局長が8日、公聴会でPCR検査の診療報酬が下げられた問題を質問。倉持仁公述人(インターパーク倉持呼吸器内科院長)は、検査で早期発見・治療できる環境の必要性を強調し、制度面や税制面で「PCR検査が増える方向にしてほしい」と述べました。

 重点措置などに対応する経済への対策は待ったなしです。岩渕友議員は1日、「事業復活支援金」を持続化給付金並みの給付額に拡充するよう要求。「不備ループ」問題を浮き彫りにし、「最後の一人まで届けきるために、姿勢が問われている」とただしました。

 倉林明子議員は7日、小学校・保育園等が休校した際に保護者の休業を補償する助成金について、「事業主が休ませたと認めない限り支給されない制度の見直しを」と迫りました。

ロシアのウクライナ侵略抗議

軍事でなく平和の枠組み

写真

(写真)岸田首相らに質問する田村智子議員(右)=2月25日、参院予算委

 参院の予算論戦が始まった2月24日、ロシアのプーチン大統領がウクライナへの無法な侵略を開始しました。日本共産党は、論戦を通じて国連憲章、国際法、国際人道法違反の侵略を糾弾するとともに、「力の論理」に立つのではなく平和の枠組みこそ必要だと呼びかけてきました。

 侵略開始の翌25日、田村智子議員が核兵器の使用まで示唆するロシアの姿勢を「被爆国として断じて許してはならない」と批判。「平和と国際秩序の破壊を許さない確固とした対応を」と政府に迫りました。

「核共有」を批判

 一方、自民党や日本維新の会などは、危機に乗じ9条改憲や敵基地攻撃能力の保有、「核共有」の議論などをあおってきました。

 これに対し山添拓議員は3月2日、敵基地攻撃能力の保有検討は「危険な逆行だ」と追及。紛争の平和的解決に努力する東南アジア諸国連合(ASEAN)の取り組みをあげ、「これが21世紀の世界が進むべき道だ」と求めました。

 井上哲士議員も同日、唯一の戦争被爆国として「非核三原則」を国是とする日本の与党内で「核共有を議論すること自体ありえない」と批判しました。

 予算委公聴会(8日)では、松井芳郎名古屋大学名誉教授が、核抑止論について「19世紀的な古い国際関係に戻る議論」だと述べ、「長期的に国際法の力とは、諸国民の連帯、国際世論だ」と強調しました。

 日本共産党は侵略に抵抗するウクライナへの支援にも全力をあげてきました。日本共産党は支援のための募金活動を広げ、15日までに約4000万円の募金を国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と日本ユニセフ協会に届けました。小池晃書記局長は7日の記者会見で憲法9条を持つ日本の政府として「非軍事の支援に全力をあげるべきだ」と呼びかけました。

写真

(写真)質問する山添拓議員=2日、参院予算委

写真

(写真)質問する井上哲士議員=2日、参院予算委

写真

(写真)質問する紙智子議員=4日、参院予算委

写真

(写真)質問する岩渕友議員=10日、参院予算委

解決へ働き掛け

 ロシアの侵略に抗議する運動が日本でも世界でも大きく広がっています。国連は2日、ロシアによる侵略を国連憲章違反とし、軍事行動の即時中止を求める決議を圧倒的多数の141カ国の賛成で採択しました。日本でも衆参両院でロシア非難決議をそれぞれ議決。地方議会でも相次いで非難決議が可決されました。

 こうしたなか日本共産党はロシアを包囲する国際連帯を広げる外交努力を提案してきました。田村氏は予算案を委嘱審査する内閣委(16日)で「国連決議に棄権、退席した47カ国への働きかけが必要だ」と要求。党自身もベトナムやベラルーシの大使と会談し国連憲章に基づく解決を働きかけました。

 一方でロシアは、国際人道法やジュネーブ条約で禁じられた原発や病院、学校、避難所などの施設も次つぎと攻撃しています。

 紙智子議員は4日にロシアによるザポロジエ原発への攻撃について国際人道法、ジュネーブ条約違反だと追及。松野博一官房長官は「最も強い言葉で非難する」と答えました。岩渕友議員も10日、東京電力福島第1原発事故が「今もどれだけ多くの人を苦しめているか」と怒りを込めてロシアの蛮行に抗議しました。

新自由主義継続の岸田政権に

やさしく強い経済を提案

写真

(写真)質問する大門実紀史議員=2月25日、参院予算委

写真

(写真)質問する山下芳生議員=18日、参院予算

写真

(写真)質問する吉良よし子議員=2月28日、参院予算委

写真

(写真)質問する武田良介議員=7日、参院予算委

 「新しい資本主義」を打ち出した岸田文雄首相。冷たく自己責任を押し付け、経済成長も企業の競争力も弱めた新自由主義を継続するものです。これに対し、日本共産党は「やさしく強い経済」を提案しています。

内部留保に課税

 日本共産党の志位和夫委員長が2月24日、大企業の内部留保に適正な課税を行うと発表。「内部留保課税」は、2012~20年で約130兆円増えた大企業の内部留保に毎年2%、5年間で10%の時限的な課税を行うもの。▽税の不公平をただす▽賃上げやグリーン投資を控除し促進▽「時給1500円以上」に向けた中小企業への賃上げ支援―の「一石三鳥」(志位氏)です。翌25日、大門実紀史議員は大企業の内部留保の拡大など事実を積み上げて、内部留保課税を要求。首相は「重なる部分は多分にある」と否定できませんでした。

 山添拓議員は17日、消費税率5%への引き下げを提案。政府が来年10月の導入を狙う消費税インボイス(適格請求書)制度は中小の課税・免税業者、消費者の誰かの負担増が避けられず、「コロナ禍での倒産・廃業がさらに増加する」と中止を訴えました。

 一方、新自由主義で破壊された雇用の再建が不可欠です。山下芳生議員は18日、「岸田政権の言う『新自由主義の弊害』の中に非正規雇用が4割に増えたことは含まれるのか」と述べ、貧困と格差の大もとにある雇用破壊に対する認識を追及。松野博一官房長官は「非正規雇用の増大を弊害と言えるか、さまざまな見方がある」としか答えず、弊害にメスをいれない岸田政権の姿勢が浮き彫りになりました。

 主要国で最悪水準にある男女賃金格差の是正を真正面から迫った田村氏は2月25日、同じ職務でも「総合職」と「一般職」で月額4万円もある格差を認めるのかと追及。「わが国の雇用慣行を踏まえた」としか答えない後藤茂之厚労相に対し、国際基準にそわないものだと批判しました。

 「フリーランスといっても生身の人間だと認識しているのか」―。吉良よし子議員は2月28日、「時間単価300円」での募集など最低報酬額の設定すらないフリーランスの実態を告発。政府が検討する「保護新法」に最低報酬額や育休などを含めるよう求めました。

持続可能な成長

 持続可能なエネルギー政策も不可欠です。武田良介議員は7日、岸田首相の水素やアンモニアを活用した石炭火力発電の延命策を厳しく批判。日本以外の主要7カ国(G7)が35年までの電力部門CO2排出ゼロを掲げる中、脱石炭・脱原発は必須だとして、「日本経済の健全で持続可能な成長のためにも、再エネ・省エネの抜本的普及が必要」だと求めました。

 岩渕氏は10日、3・11の東京電力福島第1原発事故で今も被害が続いている実態を告発。政府の汚染水の海洋放出を批判し、脱原発の道を訴えました。

 紙氏は4日、農林水産省が水田からコメ以外への転作を補助する「水田活用直接支払交付金」を改悪しようとしている問題を追及。「生産者、団体、地域を切り捨てる見直しは撤回を」と迫りました。

「黒い雨」・強制不妊・外環道…

法と司法判断の順守迫る

写真

(写真)質問する市田忠義議員=16日、参院環境委

 党の論戦で司法判断や法律すら無視する岸田政権の姿勢が浮き彫りになりました。

 「ヒロシマの心を代弁してくれた」―。14日の井上哲士議員の質問に牧野一見さん(原爆「黒い雨」被害者を支援する会共同代表)はこう話します。

 井上氏は、昨年7月に広島高裁が出したがんなど11疾病の発症がなくても被爆者と認める「黒い雨」訴訟の判決に従わない政府を批判。被爆者全員の救済を求めました。

 さらに井上氏は2月28日、2019年の参院選広島選挙区で河井克行元法相・案里夫妻が有罪となった選挙買収事件で、原資の大半は政党助成金だと指摘。岸田文雄首相は「説明責任は党として果たした」などと答え、真相解明に背を向けました。

 倉林氏は16日、旧優生保護法下の強制不妊手術を違憲と断じた大阪高裁判決を国が上告したことを追及。東京高裁でも国の責任を認める判決が出されたとして「高齢化する被害者の救済は待ったなしだ」と上告断念を迫りました。

 市田忠義議員は予算案を委嘱審査する環境委(16日)で、水俣病問題を取り上げ、被害者救済特措法の対象地域外に患者が存在しながら特措法が義務付けた健康調査を13年もやっていないと批判。不知火海沿岸に居住歴のある人の健康調査と患者全員の救済を求めました。

 東京地裁が工事一部差し止めの仮処分決定を出した外環道工事の陥没事故について、山添拓議員は9日、大深度地下法の大前提は「地上に影響がないことだ」と指摘。「事故責任は施工者にある」などと弁明する斉藤鉄夫国交相を「認可した責任は国にある」と批判し、工事中止を迫りました。


pageup