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2022年3月20日(日)

語ろう日本共産党

ロシアは侵略やめよ

 ロシアによるウクライナ侵略を糾弾し、即時撤退を求める世論が世界全体に広がっています。一方、日本ではウクライナ侵略に便乗して「核共有」論議を主張し、憲法9条改定を狙う動きもあります。「ロシア=共産党」などと事実と真逆の誤解もあります。ウクライナ侵略をめぐる諸問題を考えます。

ロシアの言い訳どうみる

どれも成り立たぬ

 ロシアはウクライナ侵略を「特別軍事作戦」と呼んで、「戦争はしていない」と強弁しています。「満州事変」「支那事変」と言って、戦争であることを否定し中国への侵略戦争を仕掛けた戦前の日本と重なります。どんな「理屈」を持ち出しても、武力行使の禁止、紛争の平和解決を定めた国連憲章違反、他国の主権や領土を侵すものであることは誰の目にも明らかです。

 ロシアのプーチン大統領は、「北大西洋条約機構(NATO)拡大の脅威への抵抗」を強調します。しかし、「脅威」だけで武力行使や侵略を正当化する「自衛」の理由にはなりません。

 「集団的自衛権」の行使も主張していますが、ロシア側が一方的に独立承認したウクライナ東部地域の「要請」を根拠にしたもので、全く認められません。

 またプーチン大統領は、「民族の一体性」という言葉を持ち出しながら“ロシア民族を守る”ことを侵略の根拠にしています。

 これに対して、国連安保理会合で痛烈な批判を行ったのがケニアの大使です。帝国主義の時代に、民族と何ら関係なしに国境線を引かれたアフリカの痛苦の歴史に触れながら、アフリカが「何十年も血にまみれた戦争を続ける」ことのないように、国境を受け継ぐ「未来を選択した」と訴えました。

 プーチン大統領の「領土拡張主義」を拒否するケニアの表明に強い共感が広がっています。プーチン大統領があげつらう「侵略合理化論」はどれも成り立ちません。

核による脅迫 許せない

禁止条約こそ必要

 プーチン大統領は核攻撃の専門部隊に「特別警戒」命令を出し、核攻撃をちらつかせ全世界を脅しています。さらに、“攻撃されたら核兵器でこたえる”と公言しています。通常兵器での攻撃に対しても核攻撃でこたえるということで、「核の先制攻撃」を意味します。

 大国が核兵器を保有しあうことで、世界の「平和」が保たれるという「核抑止論」が幻想だったことが明らかになっています。

 プーチン大統領の発言は、人間が核兵器を持つこと自身がいかに危険かを浮き彫りにしました。だからこそ、核兵器の開発、保有、使用、威嚇などを包括的に禁止し、初めて核を違法化した核兵器禁止条約が今こそ必要です。

 ところが、日本では、プーチン大統領に“呼応”して安倍晋三元首相や日本維新の会が「核共有」の議論を求め、自民党は議論を開始し、維新は「核共有」の議論を求める提言を政府に提出しました。

 安倍氏や維新は、核兵器による威嚇に核兵器で応えるというプーチン政権と同じ立場。被爆国の政治家、政党として失格です。核戦争の危機を拡大する危険な逆行は許されません。

「核共有」提言の維新

プーチンと同じ立場

 ロシアのウクライナ侵略に対し、「核の先制使用をやめよ」と世界で批判が沸き起こっています。そうした中、米国との「核共有」の議論をすべきだと危険な主張をしているのが日本維新の会です。

 維新は安倍晋三元首相などとともに憲法9条を攻撃し、外務省に「核共有」の「議論を開始する」ことを求める「提言」まで提出しました。広島・長崎の被爆者でつくる日本被団協は「日本国民を核戦争に導き、命を奪い国土を廃墟(はいきょ)と化す危険な提言」とする抗議声明を出し、提言の撤回を求めましたが、維新はこれを無視しています。

 日本が米国との「核共有」体制をつくるとどうなるでしょうか。在日米軍基地や自衛隊基地に米軍の核爆弾を貯蔵・管理する施設が造られ、自衛隊が核を使用することもあり得ます。

 唯一の戦争被爆国の日本が、他国を核攻撃し第3、第4のヒロシマ、ナガサキを生み出すことなど絶対にあってならないことです。

 維新の主張は、核兵器による威嚇を行っているプーチン政権と同じ「力の信奉」という立場です。日本は歴代政権が国是としてきた「非核三原則」(核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず)を守るとともに、核兵器禁止条約の推進の先頭に立つべきです。

原発・病院攻撃許されない

人道法守れの声を

写真

(写真)川合雅幸国連UNHCR協会事務局長(中央右)、ナッケン鯉都UNHCR駐日首席副代表(右端)に全国から集まった募金を手渡す志位和夫委員長(中央左)と田村智子副委員長=10日、東京都内

 ロシアは、ウクライナ国内の原発や病院などへの無差別な軍事攻撃を行い、子どもたちを含む民間人の犠牲が拡大し、人道的危機が生まれています。

 国際人道法は、どんな戦争であれ守るべきルールがあり、攻撃は基地など軍事的なものに限るという原則を定めています。民間施設への無差別攻撃は重大な戦争犯罪です。

 原発や病院への攻撃は、ジュネーブ追加議定書をはじめ戦時国際法に反しています。原発への攻撃は、一般市民を危険にさらす可能性があることから、「攻撃の対象としてはならない」(ジュネーブ条約第1追加議定書)としています。「文民病院は、いかなる場合にも、攻撃してはならず、常に紛争当事国の尊重及び保護を受けるものとする」(ジュネーブ文民条約)としています。

 病院への攻撃に対しては、国連児童基金(ユニセフ)、世界保健機関(WHO)、国連人口基金(UNFPA)の国連3機関は、共同で厳しい抗議声明を出しています。

 人道的危機から命を守るために、国連総会で人道支援決議採択の動きが始まっています。

 国際社会が「国連憲章を守れ」という根本的要求とともに、「国際人道法を守れ」という声をそろえて訴えるべき時です。

ロシアの侵略止めるには?

国際世論で包囲を

 「どうしたらロシアの侵略を止められるのか」―みんなの思いを実現するために何よりも大事なのは「ロシアによるウクライナ侵略やめよ」の一点で国際社会が団結し、ロシアのプーチン政権を世論で包囲することです。

 国際法学会の元理事長の松井芳郎名古屋大学名誉教授は、国会の陳述で「国際法の執行の力とは、諸国民の連帯、国際世論だ」と強調しています。平和のルールを支える力は、軍事力ではなく、世界の市民社会の支持なのです。

 プーチン政権が異常な言論・報道の検閲と統制、弾圧を行うのは、国内世論の批判を何より恐れているからです。

 世界に広がる侵略批判の声は、国際政治の現実を動かしています。国連総会は40年ぶりに安全保障理事会の要請による緊急特別会合を開催し、ロシア非難決議を加盟国の7割超にあたる141カ国の賛成で採択しました。

 経済制裁でも、日本や欧米諸国は「最恵国待遇」の停止や国際決済システム「SWIFT」(国際銀行間通信協会)からの排除など最も厳しい措置を取っています。

 国際世論の力でロシアを追い詰め、孤立させることができれば、今後いかなる国にも「力による現状変更」をさせない決定的な力になります。

国連は無力どころか力発揮

141カ国が侵略断罪

 ロシアがウクライナを乱暴に侵略する事態を見て「国連は無力だ」「力がものをいう世界になっている」という議論がふりまかれています。武力行使の禁止という国際秩序の最も重要なルールを無視し、「力には力で」という立場に陥ったらプーチン政権と同じです。

 2度の世界大戦の経験から、「力の論理」を否定して生まれたのが国連です。

 国連はウクライナ危機に際し、国連憲章に基づき敢然と行動しています。安全保障理事会の常任理事国であるロシアが侵略の当事者になるもと、国連はすべての加盟国が平等の資格で集う総会を開催。193カ国中141カ国の賛成でロシア非難決議をあげました。

 決議の中身も、ロシアを名指しで「最も強い言葉で遺憾の意を表する」とし、「(ウクライナから)即時、完全かつ無条件にすべての軍を撤退させることを要求」するなどきぜんとしたものです。

 21世紀の世界は、国の大小でものが決まる世界ではありません。20世紀に起こった植民地支配の崩壊の流れという世界の構造変化の中で、中小国が世界政治で力を発揮しています。「力の論理」を許さない法の支配を支える力は、大国の横暴を許さない国連加盟各国の強い意志に支えられています。

憲法9条を生かすときは今

平和秩序構築こそ

 ウクライナ侵略を受けて、「憲法9条で日本を守れるのか」「いまさら9条なんていう方がおかしい」などという議論が出てきています。

 岸田文雄首相は自民党大会の演説で、ウクライナ問題をうけて、「防衛体制の強化」と言って大軍拡を狙い、日米軍事同盟を「世界屈指の同盟」と持ち上げてその強化を打ち出しました。

 しかし、在日米軍は「海兵遠征軍」「空母打撃群」などの、海外の戦争への「殴り込み部隊」で構成され、日本の防衛とは無縁の軍隊です。「日米同盟で日本を守る」というのは“神話”にすぎません。それどころか、米国が戦争を起こせばいや応なく参加させられます。

 9条には二度と侵略国家にならない決意と世界平和の先駆けになる決意が込められています。プーチン大統領のような指導者が出てきても侵略国家にならない保証になっているのが9条です。

 今必要なのは9条の国にふさわしく非軍事の支援に全力をあげること。そして、国連決議を棄権した中国などにロシア非難で一致しようと働きかける外交努力です。

 そして9条を生かした平和外交で、米中を含めた平和の枠組みをつくることです。

 ASEAN(東南アジア諸国連合)が米国、中国、日本を含む「東アジアサミット」を毎年開き、東アジア規模での友好協力条約をめざして努力しています。日本共産党は、このような「平和の枠組み」を活用・強化する外交こそ、平和を守るための急務と考えています。

旧ソ連時代から覇権主義許さず

 「ロシアは共産圏?」「日本共産党も仲間?」―とんでもない誤解です。旧ソ連時代から、ロシアの覇権主義を世界でもっとも厳しく批判してきたのが日本共産党です。

 第2次大戦後、旧ソ連のスターリンが「領土不拡大」という国際約束を反故(ほご)にして、不当に占領した千島列島。日本共産党は、この覇権主義を批判し、全千島と歯舞・色丹は日本の歴史的な領土であり、全面返還すべきだと主張しています。

 1950~60年代には、日本共産党をソ連の手先につくり変えようとする激しい干渉を受けましたが、それをきっぱりとはねのけ、旧ソ連に「干渉の誤り」を認めさせました。どんな国の覇権主義も認めない立場は、歴史が検証済みです。

 チェコスロバキア、アフガニスタンなどの外国への侵略を繰り返した旧ソ連は、社会主義とは縁もゆかりもない人民抑圧と覇権主義の国でした。91年にソ連共産党が解体したとき、“歴史的巨悪の党と30年にわたってたたかってきた党として、その終焉(しゅうえん)を歓迎する”と声明したのが日本共産党です。

 逆にロシアの覇権主義を批判できず、プーチン政権にすり寄ってきたのが自公政権です。安倍元首相は「信頼関係が大事」としてプーチン政権にすりより、全千島どころか「4島返還」の旗すら投げ捨ててしまいました。2014年のクリミア侵略で欧州連合(EU)から経済制裁を受けるロシアに「経済協力」を申し出るなど卑屈な態度に終始しました。岸田首相も安倍外交を引き継ぎ、ウクライナ侵略前に決めた「経済協力」を撤回しません。侵略国ロシアを助ける安倍自民外交は、抜本的転換が必要です。


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