2022年3月17日(木)
コロナ禍 賃上げ続出
抑制策破綻 生活防衛には遠く
大手春闘回答
自動車、電機、鉄鋼などの大企業は16日、労働組合の春闘要求に対して一斉に回答を出しました。ケア労働者をはじめとする労働者のたたかいで経団連や政府が賃上げを言わざるをえないもとで、コロナ前を上回る賃上げ・賃金改善が相次ぎました。長年にわたる賃金抑制の破綻を示しています。しかし、コロナ禍で生活を守り、主要国で唯一実質賃金が上がらない国から脱するにはほど遠く、巨額の内部留保の還元などが求められます。
自動車では、日産が組合の要求通り総額として月8000円の満額回答。トヨタ自動車もすでに満額回答を明らかにしています。ただし両者ともベースアップ(ベア=一律賃上げ)の有無は不明で、トヨタは職務ごとに格差を設けています。
電機では日立製作所と東芝、NECが3000円の満額回答。パナソニック、三菱電機、富士通は1500円でいずれも前年実績(1000円)を上回りました。
2年分の賃上げを一括で行う鉄鋼では、日本製鉄が22年度に3000円、23年度に2000円を回答。鉄鋼大手の20、21両年度はベアゼロでした。三菱重工業、IHIはベア1500円とし、ベアが復活しました。
大企業は長年の賃金抑制で内部留保を466兆円に膨張させ、コロナ禍で弱くもろい経済の姿を露呈。労働組合は「コロナ禍こそ賃上げ・底上げが必要」「賃金の上がらない国から脱するべきだ」と一致して求めていました。多くの中小労組などではこれから春闘が本格化します。