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2022年3月15日(火)

論戦ハイライト

参院予算委 井上議員「黒い雨」で質問

井上 なぜ「11疾病」残したのか

厚労相 過去の裁判例と整合しない

井上 上告を断念した。判決に従え

写真

(写真)質問する井上哲士議員=14日、参院予算委

 日本共産党の井上哲士議員は14日の参院予算委員会で、核兵器禁止条約への参加と「黒い雨」による被爆者全員の救済を求めました。

 井上氏は、広島で被爆し世界で核廃絶を訴えてきたカナダ在住のサーロー節子さんが岸田文雄首相へ送った手紙で、核兵器は非人道的兵器で核兵器禁止条約に「背を向けていることが許されるか」「広島選出の総理大臣がその決断をせず誰がするのか」と表明したことに触れ、次のようにただしました。

 井上 核兵器の非人道性の認識と、それを世界に広げる日本の役割は。

 首相 被爆の実相の正確な認識を持つことはあらゆる取り組みの原点だ。

「黒い雨」を軽視

 井上氏は、米国は原爆投下直後から健康被害を軽視・隠ぺいし、国連で核兵器の非人道性の決議に反対してきたと指摘。その下で日本政府も、被爆者援護を狭くとどめ「黒い雨」被害を軽視してきたと述べました。一方、昨年7月の広島高裁判決は、がんなど原爆の影響とみられる11疾病の発症がなくても被爆者と認め、国が狭く指定した区域外での「黒い雨」被害も認める画期的なものでしたが、岸田政権が示した新たな認定指針は11疾病を引き続き要件としていることをただしました。

 井上 上告せず判決を受け入れたにもかかわらず、なぜ11疾病要件を残したのか。

 後藤茂之厚生労働相 過去の裁判例と整合しない。黒い雨や飲食物の摂取による内部被ばくの健康影響を広く認めるべきとした点は容認できない。

なぜ長崎を外す

 井上氏は、上告を断念した以上、判決に従わなくてはならないと強調。長崎を新指針の対象から外したが、国指定の区域外として被爆者と認めていない「被爆体験者」の人々がいると迫りました。

 井上 なぜ長崎を外すのか。

 厚労相 最高裁判決で、被爆地域として指定されていない地域にいる方は原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあったとは言えないとしている。

 井上 広島高裁では、その判決はなんらの判断をしているものではなく「失当だ」と断じた。広島高裁判決に従うべきだ。

 井上氏は、広島では被爆者認定され長崎では除外されるなど、住んでいる地域で法律の適用が異なることは法治主義国家ではあってはならないと指摘。昨年放送された報道番組で、投下当時の米国の原爆開発計画責任者のグローブス少将が「原爆は非人道的な武器ではない」と述べていることを示し、日本政府が原爆被害を矮小(わいしょう)化することは「米国と同じ立場に立つ」と批判。被爆者を広く認定して核なき世界を実現する先頭に立つべきだと訴えました。


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