2022年3月15日(火)
改憲へ攻勢かける自民
参院選 日本の行方を左右
岸田文雄首相は13日の自民党大会で、ロシアのウクライナ侵略を「欧州のみならずアジアを含む世界の秩序・平和に対する挑戦であり、わが事として捉え」対応すると主張しました。しかし、武力行使の禁止を掲げる国連憲章違反の指摘も、国連総会で圧倒的多数で採択されたロシア非難決議への連帯の表明はなく、強調したのは、防衛体制の見直し強化と日米同盟のさらなる強化です。
特に日米同盟をめぐっては「ロシアの暴挙は我々に同盟関係の重要性を再認識させた」とし、「わが国、アジア、そして国際社会の平和と安定の礎として日米同盟をさらに強固にしていく」と日米同盟を天まで持ち上げました。「軍事同盟を国際社会の安定の礎とする」という主張は、軍事には軍事でという「力の論理」で国連憲章の根本理念の否定に行き着くものです。
一方、岸田首相は、自衛隊明記の憲法9条改憲を含む自民党の「改憲4項目」を課題として「改憲」をなしとげようと呼びかけました。9条は再び侵略国家にならないという誓いと、世界平和の先駆けとなる決意を込め、戦争を起こさないための平和外交を政府の責務とするものです。その現実的展開こそが急務となっているなか、同盟強化、「敵基地攻撃能力」保有を目指し、9条の立場を投げ捨てるという宣言です。
岸田首相は「ウクライナ、コロナ、新しい資本主義、そして憲法改正」を挙げ、「大きな歴史的変化に立ち向かっていく、そのための力を得るたたかいが来たる参院選だ」と語りました。目前に迫りつつある参院選は、日本の平和的進路、改憲の行方を左右する一大決戦となります。(若林明)