2022年3月11日(金)
論戦ハイライト
原発事故の責任果たせ
参院予算委 岩渕議員の追及
岩渕 漁業者の理解得る約束を反故
首相 海洋放出は避けては通れない
岩渕 放出回避へ英知結集を
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「まず除染が前提だ」―。岩渕氏は原発事故による原子力緊急事態宣言がいまだ解除されず、避難を強いられている人が福島県で3万人を超える中、帰還困難区域全域の除染こそ必要だと訴えました。
岩渕氏は、帰還困難区域の福島県浪江町津島の養鶏場では「原発事故当時、4万羽の鶏を飼育していたが、避難せざるを得ず、鶏が骨だけの状態で残されていた」と指摘。事故から11年たっても、「生まれ育った場所、景色やにおい、先祖代々の家や土地、山々など、ふるさと・人生そのものを丸ごと奪い続けているのが原発事故だ」と告発しました。
岩渕 現状や思いを聞いてどう思うか。
岸田文雄首相 重く受け止めないといけない。
岩渕氏は、帰還困難区域が東京23区の面積の半分以上あるとして、全住民が避難する双葉町では「戻りたい」「迷っている」は4~5割いると指摘。政府が昨年8月に決定した特定復興再生拠点区域以外の地域について帰還に必要な箇所を除染し、避難指示解除を進めるとの方針にかかわって除染箇所をただすと、経済産業省の須藤治・福島復興推進グループ長は「自宅と道路などが想定される」と答えました。
岩渕 避難解除にあたって全域の除染を行うべきだ。
首相 まずは(昨年8月の)方針を踏まえて取り組みを進める。
岩渕氏は、「住民は『自宅と道路だけ除染されても戻れない』と声を上げている。原発事故を起こし除染もまともにやらないなど、許されない」と強調しました。
岩渕氏は、政府が昨年4月に福島第1原発事故で発生する汚染水(アルプス処理水)の海洋放出を決定した問題で、「県内7割の議会が『反対』『慎重』な対応を求めている」と強調。同県漁連が15年8月、「漁業者、国民の理解を得られない海洋放出は絶対行わないこと」との要望に、東京電力と経済産業相は「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」と回答したと指摘しました。
岩渕 約束を反故(ほご)にしたのではないか。
文挟誠一東京電力副社長 反故にしたとは考えていない。今後、風評被害を最大限抑制するため、全力で取り組んでいく。
首相 (燃料デブリ取り出しや廃炉作業のスペース確保で)敷地がひっ迫するなか、海洋放出は避けては通れない。懸念を払拭(ふっしょく)するよう説明を尽くす。
岩渕 沿岸地域、漁業全体の重要な問題にもかかわらず説明さえ行われていない。
岩渕氏は、原発事故で溶けた燃料などが冷えて固まった燃料デブリが推定880トンあり、「廃炉ロードマップの見直しがない」と批判しました。
岩渕 燃料デブリを取り出す見通しも示していない。一方で、海洋放出ありきだ。
首相 海洋放出が現実的な対応だ。
岩渕氏は、福島原発の北側にタンク置き場に活用できる空き地があることや、汚染水を減らす方法を専門家が提案していることを示し、「タンク保管を継続させて、その間にあらゆる英知を結集し、海洋放出以外の方法を進めるべきだ」と主張しました。