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2022年3月8日(火)

論戦ハイライト

参院予算委 倉林議員の追及

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(写真)質問する倉林明子議員(右)=7日、参院予算委

倉林 ケア労働者の低い賃金はなぜ

首相 平均勤続年数の短さが一因に

倉林 社会保障抑制の結果だ

 日本共産党の倉林明子議員は7日の参院予算委員会で、教育・保育や福祉・介護などのケア労働者について、政府が掲げた方針の3%の賃上げには程遠いと実態を示し、思い切った賃上げを求めました。

 倉林氏は、厚労省のリーフレットでは保育各事業所の職員配置状況などによって「一律で月額9000円の引き上げを行うものではない」と明記していることに対し、「なぜ、そういうことになるのか」と批判しました。

 倉林氏は、国が定める配置基準では多くの保育所で保育士が足りていないと指摘。保育研究所所長の村山祐一氏の試算にふれ、平均的規模の保育所の保育士数が公定価格基準の2倍近くになっている実態を示しました。

 その上で、「手厚い職員配置をしているところほど賃上げ額が低くなる」と批判。介護現場でも同様の問題がある上、「障害福祉・介護の現場では、コロナ禍での利用者の減少や感染による閉鎖などで処遇改善の基礎となる報酬が減少している」と指摘し、「せめてコロナ前の総報酬で算定すべきだ」と主張しました。

 さらに倉林氏は、賃上げ対象が限定されていると批判し、福祉・介護分野では処遇改善加算を受けていない介護で1万件、障害福祉で2万件も対象外だと指摘。看護師はさらに限定され、病院数の3割、就業している看護職員の4割にすぎないとして、「すべてのケア労働者を対象に」と述べ、全産業平均と格差解消目指した大幅賃上げを求めました。

 倉林 ケア労働者が仕事内容に比べて報酬が十分でない。賃金が低く、格差が埋まらないままなのはなぜか。

 首相 平均勤続年数が短いことが要因の一つ。長く働ける環境整備が必要だ。

 倉林 決定的に上がらなかった理由は、社会保障費を抑制してきた結果だ。

 倉林氏は、ケア労働者が仕事内容に比べて報酬が十分でない大きな要因は、ケア労働者の女性が担う「無償労働」の延長として低賃金を容認されてきたことにもあると指摘し、次のように迫りました。

 倉林 女性が多いケア労働者の賃上げは、男女賃金格差を是正する上でも有効ではないか。

 首相 賃金の引き上げは、男女賃金格差の解消に資する。公的価格の引き上げのほか、企業の男女別賃金の開示の充実等により、是正に取り組んでいく。

 倉林氏は「桁が違うという声があり、3%には程遠いのが実態だ。公約はいつ実現するのか」と追及。「今後さらなる処遇改善の方向性については、公的価格評価検討委員会の中間整理を踏まえ、検討していく」と具体的に答えない岸田首相に対し、「ケア労働の評価を低く抑え込むことは、高齢者や障害者、子どもの人権、尊厳をおとしめることにも直結するという自覚を持つべきだ」と厳しく批判し、思い切った賃上げ、配置基準の引き上げをするよう強く求めました。


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