2022年3月6日(日)
所得税法等改定案に対する大門議員の質問(要旨)
日本共産党の大門実紀史議員が4日の参院本会議で行った所得税法等改定案に対する質問の要旨は次の通りです。
ロシアのウクライナ・ザポロジエ原発への攻撃に厳重に抗議します。ロシアの無法で野蛮なウクライナ侵略をやめさせるには、即時撤退を求める国際世論で包囲するとともに、各国と連携した強力な経済制裁が必要です。同時に現在、多くの中小企業は、コロナ禍に加え、ウクライナ情勢による原油、原材料などの高騰でさらに苦境に追い込まれています。従来の枠を超えた大規模な中小企業支援策が必要です。
日本が成長できない国になってしまったのは、20年以上にわたる新自由主義政策の結果です。2001年に開始された小泉・竹中「構造改革」は、非正規雇用を拡大し、低賃金構造を固定化しました。アベノミクスは、株価をつり上げて大企業や大株主・富裕層を大もうけさせたうえに、法人税減税まで行いました。一方で国民には消費税増税が押し付けられました。
企業がもうかれば個人の所得も増え、経済全体がよくなるという「トリクルダウン」は起こらず、大企業の内部留保は巨額に膨らみ、富裕層の資産は2倍、3倍に急増しました。富が一部の大企業や富裕層に偏在し、世の中全体にお金がまわらなくなった。だから内需が低迷し、経済は長期停滞に陥り、日本は成長できない国になってしまったのです。
総理は、分配を重視するといいながら、結局「分配の原資をつくるためには、まずは成長だ」と従来の「トリクルダウン論」を答弁でくり返しています。しかし、分配の原資はすでにたっぷりため込まれています。いま重要なことは「成長から分配」ではなく、大企業に偏在する富を国民に還元する「分配から成長」への好循環をつくりだすことです。
わが党は、大企業の内部留保に課税する案を発表しました。安倍政権以降、内部留保の積み増しにまわされた減税分は、いわば減税する必要のなかった減税です。その一部を返してもらうのが基本的な考え方です。過去に課税しなかった分を追徴するという意味でもあり、いわゆる二重課税には当たりません。わが党は分配だけでなく、成長戦略も重要だと考えます。
賃金を引き上げ、社会保障を立て直す。応能負担の税制を取り戻し、内需を活性化し、よい投資を呼び込む。気候危機打開のとりくみ、ジェンダー平等社会の実現も経済成長につながります。人にやさしい経済こそ、本当の意味で強い経済であり、国民本位の成長戦略です。