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2022年3月5日(土)

ウクライナ情勢に関する国連総会緊急特別会合(2月28日~3月2日)での国連事務総長や各国代表の発言要旨

(3日付掲載分)

 2月28日から米ニューヨークの国連本部で始まったウクライナ情勢に関する国連総会緊急特別会合での国連事務総長や各国の発言の要旨を紹介します。(順不同、発言は28日)

戦争は答えでない

アントニオ・グテレス国連事務総長

 ウクライナでの戦闘は直ちにやめなければならない。ロシアの攻撃で、子どもを含め民間人の犠牲が出ている暴力激化の状況は、全く受け入れられない。もうたくさんだ。

 兵士は自分の兵舎に帰り、指導者は和平に向けて取り組むべきだ。ウクライナの主権と独立、領土保全は守られなければならない。

 ロシアの核戦力が「特別態勢」に引き上げられたことは、身が凍るような展開だ。核戦争という発想は想像を絶するものだ。誰に対しても核兵器の使用は正当化されない。

 攻撃は続いているが対話への道は常に開いたままにしておくべきだ。戦争は答えではない。ウクライナの人々もロシアの人々も平和が必要だ。われわれには平和が必要だ。

攻撃は国連を侮辱

アブドラ・シャヒド国連総会議長

 ロシアのウクライナへの軍事攻撃は、国連憲章と矛盾することを強調したい。

 国連憲章は、第2次世界大戦直後に主権平等の原則に基づいて起草された。国際紛争を、軍事力使用の脅しなしに平和的に解決することが示されている。

 ロシアが続けている軍事攻撃は、国連の創設者と国連を支持する人たちすべてを侮辱するものだ。暴力は停止すべきで、外交と対話が勝るべきだ。

 (ウクライナとロシア)両者の会談(停戦交渉)は希望の光を提供する。会談が緊張を鎮静化させ、平和への道を開くことを祈っている。(国連総会での)今日の議論を、平和に可能性を与えることに使おう。

国連の命運かかる

ウクライナ■セルゲイ・キスリツァ国連大使

 国連創設以来初めて、欧州の中心で本格的な戦争が起きている。死者数は増え続けている。ロシアのミサイルはキエフ近郊の重要インフラに照準を合わせている。多くの居住用建物が破壊され、幼稚園や病院が攻撃を受けた。ロシア軍はチェルノブイリ原発も押さえ、放射線レベルが大幅に上昇している。

 国連総会は独立した主権国家への侵略行為をすべて終わらせるため声を上げるべきだ。その要求には、ロシア軍の即時完全撤退、ウクライナ東部の立場に関するロシアの決定の取り消し、これらを支援したベラルーシの危険な役割の認知が含まれなければならない。

 もしウクライナが生き延びられなければ、国際平和も生き延びないだろう。国連の命運もかかっている。

武力に余地はない

欧州連合(EU)■オロフ・スクーグ国連大使

 EUは、ウクライナの独立と主権、領土保全を侵害する、ロシア軍による一方的侵攻を可能なかぎり強い言葉で非難する。侵略行為へのベラルーシの関与も非難する。

 われわれは、ロシアの核警戒レベルの引き上げにも危機感を募らせている。ロシアに対し、緊張緩和、元の警戒レベルへの引き下げを求める。侵略に伴う人命の犠牲、破壊の責任は全面的にロシアにある。軍事作戦の即時停止、ウクライナ領内からの全部隊・装備の無条件撤収、真剣な対話への参加を求める。

 EUは、国境変更のための武力行使や威圧が21世紀に果たす余地はないと確信する。国連憲章と国際秩序を擁護するため最善を尽くすことは、全加盟国の義務と責任だ。

加害者は裁かれる

デンマーク■マルティン・ビレ・ヘルマン国連大使

 北欧・バルト8カ国を代表して発言する。平和が勝利し、ウクライナの人が安全に家に戻れるまで、われわれはウクライナとともにある。財政的、人道的、軍事的支援の強化を検討する必要がある。

 ベラルーシのルカシェンコ政権が果たした役割についても、確固たる対応を求める。この意味のない戦争を止め、即時停戦し、軍を撤退させ、真の対話と交渉の道に戻るよう、ロシアに求める。

 民間人の死と戦争犯罪は記録され、加害者は責任を問われ、裁かれる。ウクライナは国際司法裁判所へ要請している。あらゆる法的手段を用いて、侵略者の責任を追及していく。国連総会はプーチン大統領に確固たるメッセージを送る力を持っている。

罪なき人が犠牲に

ジョージア■カハ・イムナゼ国連大使

 ウクライナでみられるのはロシア側の侵略行為であり、私たちは非難する。

 ロシアによるわが国への全面的な軍事攻撃(2008年)はすべての国にとって注意喚起となるべきだったが、数年後にウクライナで同じシナリオが起こることを防げなかった。私たちは、戦争が人々に悲惨な結果をもたらし、罪のない市民、女性や子どもが最も大きな犠牲を払うことを知っている。戦争を生き抜く人々にとって破壊的なだけでなく、後世にも引き継がれる。

 力による領土拡張やその脅迫は違法であり、容認できるものではない。ジョージアはロシアに対し、ただちに軍事行動をやめ、すべての軍隊・軍備を撤退させることを求める。ウクライナの独立、主権、領土保全に対する不動の支持を繰り返し表明する。

避難民に国境開く

ポーランド■クシシュトフ・シュチェルスキ国連大使

 国際社会が、欧州における第2次世界大戦後最大の人道危機のひとつに直面していることは間違いない。ベラルーシのルカシェンコ政権との共謀によって促進されたロシアの侵略の最初の3日間に、約50万人がウクライナから脱出し、30万人がポーランドに避難した。

 ポーランドは国境を開放している。ロシアの侵略に苦しめられ、命の危険にさらされているすべての国の国民は、ポーランドに避難所を求めることができる。

 今日だけで、125の国籍をもつ人々を受け入れた。100人のロシア人が含まれている。ポーランドは地政学的な超大国ではないが、連帯の超大国になりたい。祖国を守り、国の自由のために立ち上がったウクライナ人に賛辞を贈る。

核威嚇は憲章違反

オーストリア■アレキサンダー・マーシク国連大使

 決議に賛成することは、法の支配、国際法と国連憲章を守るために国連が責任を果たせること、国際社会がロシアの侵略や同様の恐ろしい行為を許容しないということを示すことになる。

 国連加盟国への攻撃は、私たちすべての国に対する攻撃だ。互いにつながりあうこの世界は一つの地域である。

 核による威嚇は、明確に国連憲章に違反するものだ。核によってもたらされる悲惨な人道的結果は、国境に関わりなくすべての人類にとっての脅威となる。

 私たちの多くがロシアと良い関係にあった。しかし、悪い行いに対し言うべきことを言い、やるべきことを果たすのが、誠実で良き友人である。この闇の中、国連憲章の違反を非難し、侵略の被害者に連帯を示すことは、私たちの道徳であり、法に基づく義務である。

手遅れになる前に

ブラジル■ロナルド・コスタ・フィリョ国連大使

 国連と世界にとって決定的な瞬間だ。ブラジルは(ロシア非難の)安保理決議に賛成票を投じ、それが採択されなかったことを残念に思っている。今こそ、国連の主要機関が協力し、われわれを戦争の惨劇から救う時だ。

 ここ数年、世界は東欧の安全とパワーバランスの悪化を目の当たりにしてきた。それが現在の危機への道を切り開いた。しかし、そのことは、加盟国の領土保全と主権への武力行使を正当化するものではない。

 また、手遅れになる前に好戦的な行為に終止符を打つよう求め、全関係者に対し、武器の供給や制裁措置、特に食糧安全保障などの重要分野で世界経済に影響を与えかねない決定を見直すよう呼びかける。

核ボタンの手離せ

カナダ■ロバート・レイ国連大使

 ロシアは不法な侵略戦争を開始した。プーチン大統領の帝国主義、植民地主義を復活させたいという願望にたきつけられた戦争だ。

 私たちが長年の討論の末に国連憲章に調印したのは、国家間に深刻な意見の相違があるときにも戦争に訴えないためだ。われわれは交渉のテーブルに向かう。法廷や調停者に向かう。これこそが紛争の解決方法だ。他の方法には狂気が横たわっている。

 私たちは、ロシアのプーチン大統領に言う。より多くの死者や負傷者、苦難が出る前にこの戦争をやめろ。脅しをやめろ。核のボタンから手を離し、二度とするなと。われわれの時代の現実により真剣に合理的に取り組めと。

小国危険にさらす

シンガポール■ブルハン・ガフール国連大使

 ロシアの侵略は国連憲章違反であり、シンガポールのような小国にとって現実の問題だ。力は正義だという国際秩序は小国を危険にさらす。ウクライナ独立は「歴史的な過ちで狂った決定」だったという主張に基づいて、独立国を侵略することは正当化できない。

 罪のない多くの命が奪われている。安全で妨害されない人道援助を呼び掛ける。すべての国の主権は尊重されなければならない。シンガポールは決議案を支持し、常に国連憲章を順守するために投票する。

 この決議は一方の肩を持つものではなく、国際法と国連憲章を守るものだ。すべての国、とりわけ小国は、国際法を順守するために団結しているという明確な意思を示さなければならない。

対話促す環境こそ

インドネシア■アルマナサ・クリスチアワン・ナシル国連大使

 ウクライナに対する軍事攻撃は容認できない。人々の命を重大な危険にさらし、地域および世界の平和と安定を脅かしている。

 全当事者が対話と外交による平和的解決を追求しなければならない。国連憲章および国際法の目的と原則は、全面的に支持されなければならない。インドネシアは、ウクライナ国内の人々への人道支援の、迅速かつ安全、制限のないアクセスが許可されるよう、全当事者に呼び掛ける。

 この国連総会での行動は、より広範な人類の利益に資するものでなければならない。インドネシアは、対話と外交を促す環境の醸成に向け、前向きに貢献するよう取り組む。

この犯罪記録せよ

コスタリカ■ロドリゴ・カラッソ国連大使

 ロシアは自国の核兵器の警戒態勢をとるよう命じたが、これは自身の侵略行為の結果であり、国際法および核不拡散条約(NPT)違反だ。ロシアは、ウクライナへの侵略においてクラスター弾の使用、民間人への攻撃、サイバー攻撃など、他の協定にも違反している。

 これらの行為の影響は長期間続くだろう。国際社会はロシアによるすべての犯罪を記録しておかなければならない。

 全加盟国は、人口密集地での爆発物の使用を非難し、この紛争の外交的解決に努力しなければならない。停戦、軍隊の撤退、軍事行動の停止を求める。暴力が脇に置かれれば、外交に立ち戻ることができる。世界をここまで悪化させた思考を終わらせよう。

誰も利益にならぬ

中国■張軍国連大使

 ウクライナで展開している事態は、中国が目撃したかったものではなく、いかなる当事者の利益にもならない。すべての関係者が自制し、外交的努力を強めるよう呼び掛ける。

 ウクライナは地政学的な対立の前哨ではなく、東側と西側の懸け橋の役割を果たすべきだ。市民の生命、財産、人道上のニーズは適切に保証されるべきだ。安保理常任理事国として、すべての国の主権と領土保全は尊重されるべきだというのが中国の一貫した明確な立場だ。

 ブロック対立に基づく冷戦思考を捨てるべきだ。新たな冷戦を引き起こすことからは何も得られない。一国の安全が他国の安全を犠牲にしてはならない。地域の安全保障は、軍事同盟の強化、拡大に依存すべきではない。

「憲章に基づく」と強弁

ロシア

 ロシアのネベンジャ国連大使は「危機の根本はウクライナ自身にある」と述べ、「ロシアはドネツクとルガンスクからの要請を受け、集団的自衛権を定めた国連憲章51条に基づく行動を決断した」と強弁しました。

 「ウクライナでは2014年に国家主義者と過激派がクーデターで政権を奪取し、反ロシア政策と北大西洋条約機構(NATO)加盟の動きを始めた」「NATO加盟は、超えてはならない一線であり、ロシアは対応策を余儀なくされた」と侵略を正当化しようとしました。

(4日付掲載分)

 米ニューヨークの国連本部で2月28日から3月2日にかけて開かれたウクライナ情勢に関する国連総会緊急特別会合での各国の発言の要旨を紹介します。(順不同、発言は1日)

銃先に解決策なし

マレーシア■サイード・モハマド・ハスリン・アイディッド国連大使

 安保理が国際平和と安全保障の維持という第一義的な責任を果たすことができなかったことに失望を表明し、全ての関係国が安全保障に懸念を抱くのは正当だと理解する。

 全ての国は、国の主権と領土保全という原則に厳密に従わなければならない。紛争の中では、銃身の先に解決策を見つけることはできない。代わりに、自制と対話に向けた緊張緩和の具体的な措置を呼び掛ける。

 核戦力が「特別警戒態勢」に置かれているという報道に強い懸念を表明し、8年前にマレーシアの旅客機がウクライナの紛争の中で犠牲となり298人の罪なき人たちが亡くなったことを想起する。こうした背景から、決議案に賛成する。

出口は一つ 外交だ

キプロス■アンドレアス・ハジクリサンソウ国連大使

 ロシアのウクライナ侵攻を非難する。武力の行使は、すべての国が尊重すると約束した原則を否定するものだ。ルールに基づいた世界秩序に自国の安全を頼る小国として、キプロスはこの集団システムの有効性に不安を感じる。

 人々の苦しみ、失われた命、敵対行為による大勢の難民などは、キプロスが50年ほど前まで隣り合わせだった戦争の帰結である。速やかな停戦とロシア軍の即時撤退を呼びかける。

 核兵器による勝者はなく、犠牲があるだけだ。キプロス自身、外国勢力による侵略と現在進行の占領の犠牲者である。ウクライナの状況は国際法違反だ。出口は一つ、それは外交だ。戦争ではない。

国連原則への攻撃

ドイツ■アンナレーナ・ベーアボック外相

 ナチスドイツの残忍な戦争で始まった第2次世界大戦の終結にあたり、平和と安全を維持するために国連が創設された。

 国連の原則が平和の枠組みだ。共通のルール、国際法、協力、紛争の平和解決に基づく秩序だ。ロシアはその秩序を乱暴に攻撃した。

 ロシアの侵略戦争はうそに基づいている。全ての国連加盟国には確固として、どちらの側に付くか決断することが求められている。

 ドイツはウクライナに、食料や医薬品、難民への避難所を提供していく。また、国連憲章第51条に基づくウクライナの自衛を軍事的に支援すると決めた。ドイツの歴史的責任を自覚し、外交と平和解決に全力を挙げる。しかし平和秩序が攻撃されたとき、私たちは新たな現実に向き合わなければならない。

小国の避難所 国連

クウェート■マンスール・アヤド・アロタイビ国連大使

 国連総会は、安保理が欧州と世界の平和と安全を維持する義務をはたすことができないということを議論している。国連がその創設の基礎となっている価値と原則を守るかどうか、現実に試されている。

 クウェートは1990年、イラクに侵攻され、91年まで占領された苦い経験がある。だからこそ、クウェートは各国が国際法と国連憲章を順守する必要があると強調する。国連は小国の安全な避難所であり、集団安全保障を具現化するものだ。

 国家間の関係で力の行使や脅しは断固として拒否する。すべての当事者が、民間人と民間の施設を擁護するよう求める国際法と安保理決議を順守するよう求める。

戦争に勝者はない

ミクロネシア連邦■ジェーン・チジャル国連大使

 国連加盟国が他の加盟国を軍事攻撃する行為は、平和維持活動ではなく侵略戦争だ。だれが侵略者でだれが犠牲者かは、疑いの余地なく明白だ。

 戦争は人間が行うもので、勝者はいない。ロシア軍は速やかに敵対行為をやめ、ウクライナが主権を持つ領土から撤退するよう求める。

 人道支援への妨げのないアクセスや安全な通過は、それを必要としている人たちに提供されなければならない。

 ミクロネシアは平和を愛する小さな国であり、ミクロネシアの憲法の原則と国民性は、国連憲章の原則と密接に関係している。ミクロネシア政府はウクライナ国民に連帯し、ロシアとの外交関係を断絶した。

人権・法守る連帯を

マーシャル諸島■アマトライン・エリザベス・カブア国連大使

 ロシアのウクライナへの軍事的侵攻は、帝国主義の課題を果たす策略にすぎない。自由意思と法の支配が銃身により覆された。悲しいことに、国連を創設した私たち家族の一員によって。

 一国への不法な侵攻は、私たちすべての国々への不法な侵攻だ。マーシャル諸島は沈黙しない。挑発によるものでないこの乱暴な侵攻は“暴虐”である。

 小国であれ大国であれ、私たちは基本的人権と法の支配を守るため、立ち上がり連帯しなければならない。国際社会が、今この不当な行為に対し声を上げなければ、将来脅威に直面した時、私たちや隣国のために誰が立ち上がるのか。(ロシアの)拒否権は世界の合意を止めることはできない。

外交と対話に戻れ

ガーナ■ハロルド・アドライ・アギエマン国連大使

 ウクライナの情勢は深刻だ。国際社会がロシアの行動を厳しく非難しないならば、この世界を一つにまとめてきた支柱は、たとえ不完全なものだとしても、さらに根底から覆されてしまうだろう。

 国連憲章はこれまでも、強力な国に適用しようとすると放り投げられてしまった。

 安全保障理事会が手をこまねくなら、行動するのは国連総会の責任だ。この議場からわれわれは訴える。ロシアは速やかに停戦し、ウクライナから撤退し、外交と対話に戻るべきだ。

 ロシアはガーナにとって長年の友人だが、互いに率直であることこそ、真の友情というものだ。

「立ち上がろう」と

ジャマイカ■ブライアン・ウォレス国連大使

 ロシアによるウクライナへの軍事的侵略を強く非難する。ウクライナの領土からのロシア軍の即時・完全撤退を求める。

 国連加盟国であり国連安保理の理事国であるロシアには、侵略行為のすべてをやめ、この紛争の平和的解決のためのすべての外交的チャンネルを開くことを求める。

 ジャマイカは、国際法の枠組みや国連憲章の原則が、大きさや地位に関係なくすべての国に安全な環境を提供すると確信している。(ジャマイカ出身の有名なレゲエ歌手、ボブ・マーリーの歌詞を引用し)起き上がろう、立ち上がろう。ウクライナ全国民の権利のために立ち上がろう。なぜならきょう、われわれすべてがウクライナ人だからだ。

ウクライナに連帯

アンティグア・バーブーダ■ウォルトン・ウェブソン国連大使

 ウクライナ政府・国民に連帯する。沈黙が(ロシアのウクライナへの侵略の)同意と誤解されないように、われわれは立ち上がるべきだ。

 新型コロナウイルスの世界的流行の影響から立ち直ろうとしているなかで、ウクライナの紛争は、世界をさらに深刻で不確実な状況に陥れる。より強い取り組みが必要とされる気候変動問題の議論を遅らせる。この状況は止めなければならない。ロシアに対して交渉のテーブルに戻ることを主張する。

 (安保理でロシア批判の決議案がロシアの拒否権で否決されことに)失望している。国連総会では、拒否権は身勝手に行使してはならないことを示す必要がある。

核兵器廃絶めざす

アルゼンチン■マリア・デルカルメン・スケフ国連大使

 本総会は、国連の創立原則を守るために開かれた。ウクライナの情勢を見捨てることなどできない。ウクライナへの侵略を糾弾し、ロシアに対しては、ウクライナ領内での不法な武力行使や軍事作戦を直ちに中止するよう呼び掛ける。

 事務総長は、ロシアが核戦力を警戒態勢に置く決定に懸念を表明した。国際社会は地球を全面的な破滅の危機にさらす核兵器の完全廃絶を目指して活動しなければならない。

 武力の威嚇やその行使による領土の取得は合法とは認められない。主権と領土保全の尊重からくる論理的な帰結だ。国際法は国際社会が承認した諸原則を定めている。それらの原則が適用されるかどうかについて、われわれに選択の余地はない。

キューバ「ロシアの安全保障を無視」

 キューバのペドロ・ペドロッソ国連大使は、ウクライナの事態について、「米国が北大西洋条約機構(NATO)をロシアの国境まで広げようと決断した結果、避けられたはずの予測不可能なシナリオが引き起こされた」と発言しました。

 さらに「ロシアの安全保障の要求を無視したのは誤りだ。国家を包囲し閉じこめて平和を実現することは不可能だ」と指摘。「米国とその同盟国は主権国家を侵略して政権交代を引き起こした。何十万もの民間人の死に責任を負っている」と米国などを非難。「先の安保理での決議案は危機の解決策の真の探求としてつくられておらず、この総会に提出された決議案にも同じ欠陥があり、攻撃的行動をとった者の責任を認めていない」と述べました。

(紙面に未掲載分=順不同、発言日は末尾に記載)

対話と交渉が唯一の道

パナマ■マルコバ・コンセプシオン国連大使

 「民主主義における開発のための同盟」(コスタリカ、パナマ、ドミニカ共和国が昨年9月に結成)を代表して、国連憲章と国際法の尊重の共有にもとづく交渉を求め、ロシアによるウクライナの領土保全の侵害を非難する。

 同盟は、敵対行為の停止を求める事務総長の呼びかけを尊重し、節度と理性、そして国際的な権利と人道法が尊重されるよう求める。必要とするすべての人々に迅速かつ妨げのないアクセスを提供するためにあらゆる努力を払うべきである。

 国連憲章と総会決議の尊重を伴う対話と交渉が、東欧に影響を及ぼすこの紛争の永続的解決の唯一の保証であり、すべての当事者に外交的対話への復帰を呼びかける。(2月28日)

安保理の責任行使妨げた

ブルガリア■ラチェザラ・ストエバ国連大使

 ロシアの理不尽で不当な軍事侵攻を最も強い言葉で非難する。これは、世界の安全と安定を損なうだけでなく、国際的なルールに基づく秩序を危険にさらす。ロシアは拒否権を行使し、安保理による国際平和と安全の維持という第一の責任の行使を妨げた。

 ロシアが直ちに軍事行動を停止し、ウクライナ全土から軍を無条件で撤退させ、ウクライナの領土保全、主権、独立を完全に尊重することを求める。

 ベラルーシがロシアの侵略のための出撃拠点として領土を提供するなどして関与したことも強く非難する。国際社会は、平和を愛する主権国家へのあからさまな侵略行為を見ぬふりはできない。(2月28日)

常任理事国の侵略非難

チェコ■ジェイクフ・クルハネック国連大使

 チェコはロシアに対し、軍事行動の即時停止、ウクライナ全領域からの全部隊・装備の無条件撤収を求める。安保理常任理事国が同胞の国連加盟国に対し侵略戦争を開始した。あからさまな国際法違反であり、国連憲章およびその諸原則の違反だ。

 チェコは最も強い言葉でプーチン大統領の核使用の威嚇を非難する。非常に危険な発言で、安全保障情勢全体をさらに深刻なものとする。

 われわれは、提案された決議案の採決にあたり、国連憲章と国際法の目的や基本原則を支持するという厳粛な義務を負っている。良心とともに、国連憲章と国際法のために、国連が体現する全価値のために、賛成票を投じてほしい。(2月28日)

核兵器使用、正当化されず

ルクセンブルク■オリビア・マース国連大使

 ロシアによる残忍で正当化できない、犯罪的な侵略攻撃によって、ウクライナの主権と領土保全が侵され、国連の諸原則と多国間主義に異議が申し立てられている。

 国連総会は今、その責任を全うせねばならない。決議案はロシア軍のウクライナからの完全撤退と紛争を終わらせるための平和交渉を呼び掛けている。これを支持するのは、多くの命を救うことに投票することとなる。この欧州、世界で重大な安全保障の局面で、どんな理由があろうとも核兵器を使用することは正当化されない。

 ルクセンブルクは難民を受け入れ、ウクライナに医薬品と医療器具を提供する。ウクライナの運命は私たちの運命だ。(3月1日)


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