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2022年3月4日(金)

世界がロシア包囲

国連緊急特別会合 発言要旨

 米ニューヨークの国連本部で2月28日から3月2日にかけて開かれたウクライナ情勢に関する国連総会緊急特別会合での各国の発言の要旨を紹介します。(順不同、発言は1日)


銃先に解決策なし

マレーシア■サイード・モハマド・ハスリン・アイディッド国連大使

 安保理が国際平和と安全保障の維持という第一義的な責任を果たすことができなかったことに失望を表明し、全ての関係国が安全保障に懸念を抱くのは正当だと理解する。

 全ての国は、国の主権と領土保全という原則に厳密に従わなければならない。紛争の中では、銃身の先に解決策を見つけることはできない。代わりに、自制と対話に向けた緊張緩和の具体的な措置を呼び掛ける。

 核戦力が「特別警戒態勢」に置かれているという報道に強い懸念を表明し、8年前にマレーシアの旅客機がウクライナの紛争の中で犠牲となり298人の罪なき人たちが亡くなったことを想起する。こうした背景から、決議案に賛成する。

出口は一つ 外交だ

キプロス■アンドレアス・ハジクリサンソウ国連大使

 ロシアのウクライナ侵攻を非難する。武力の行使は、すべての国が尊重すると約束した原則を否定するものだ。ルールに基づいた世界秩序に自国の安全を頼る小国として、キプロスはこの集団システムの有効性に不安を感じる。

 人々の苦しみ、失われた命、敵対行為による大勢の難民などは、キプロスが50年ほど前まで隣り合わせだった戦争の帰結である。速やかな停戦とロシア軍の即時撤退を呼びかける。

 核兵器による勝者はなく、犠牲があるだけだ。キプロス自身、外国勢力による侵略と現在進行の占領の犠牲者である。ウクライナの状況は国際法違反だ。出口は一つ、それは外交だ。戦争ではない。

国連原則への攻撃

ドイツ■アンナレーナ・ベーアボック外相

 ナチスドイツの残忍な戦争で始まった第2次世界大戦の終結にあたり、平和と安全を維持するために国連が創設された。

 国連の原則が平和の枠組みだ。共通のルール、国際法、協力、紛争の平和解決に基づく秩序だ。ロシアはその秩序を乱暴に攻撃した。

 ロシアの侵略戦争はうそに基づいている。全ての国連加盟国には確固として、どちらの側に付くか決断することが求められている。

 ドイツはウクライナに、食料や医薬品、難民への避難所を提供していく。また、国連憲章第51条に基づくウクライナの自衛を軍事的に支援すると決めた。ドイツの歴史的責任を自覚し、外交と平和解決に全力を挙げる。しかし平和秩序が攻撃されたとき、私たちは新たな現実に向き合わなければならない。

小国の避難所 国連

クウェート■マンスール・アヤド・アロタイビ国連大使

 国連総会は、安保理が欧州と世界の平和と安全を維持する義務をはたすことができないということを議論している。国連がその創設の基礎となっている価値と原則を守るかどうか、現実に試されている。

 クウェートは1990年、イラクに侵攻され、91年まで占領された苦い経験がある。だからこそ、クウェートは各国が国際法と国連憲章を順守する必要があると強調する。国連は小国の安全な避難所であり、集団安全保障を具現化するものだ。

 国家間の関係で力の行使や脅しは断固として拒否する。すべての当事者が、民間人と民間の施設を擁護するよう求める国際法と安保理決議を順守するよう求める。

戦争に勝者はない

ミクロネシア連邦■ジェーン・チジャル国連大使

 国連加盟国が他の加盟国を軍事攻撃する行為は、平和維持活動ではなく侵略戦争だ。だれが侵略者でだれが犠牲者かは、疑いの余地なく明白だ。

 戦争は人間が行うもので、勝者はいない。ロシア軍は速やかに敵対行為をやめ、ウクライナが主権を持つ領土から撤退するよう求める。

 人道支援への妨げのないアクセスや安全な通過は、それを必要としている人たちに提供されなければならない。

 ミクロネシアは平和を愛する小さな国であり、ミクロネシアの憲法の原則と国民性は、国連憲章の原則と密接に関係している。ミクロネシア政府はウクライナ国民に連帯し、ロシアとの外交関係を断絶した。

人権・法守る連帯を

マーシャル諸島■アマトライン・エリザベス・カブア国連大使

 ロシアのウクライナへの軍事的侵攻は、帝国主義の課題を果たす策略にすぎない。自由意思と法の支配が銃身により覆された。悲しいことに、国連を創設した私たち家族の一員によって。

 一国への不法な侵攻は、私たちすべての国々への不法な侵攻だ。マーシャル諸島は沈黙しない。挑発によるものでないこの乱暴な侵攻は“暴虐”である。

 小国であれ大国であれ、私たちは基本的人権と法の支配を守るため、立ち上がり連帯しなければならない。国際社会が、今この不当な行為に対し声を上げなければ、将来脅威に直面した時、私たちや隣国のために誰が立ち上がるのか。(ロシアの)拒否権は世界の合意を止めることはできない。

外交と対話に戻れ

ガーナ■ハロルド・アドライ・アギエマン国連大使

 ウクライナの情勢は深刻だ。国際社会がロシアの行動を厳しく非難しないならば、この世界を一つにまとめてきた支柱は、たとえ不完全なものだとしても、さらに根底から覆されてしまうだろう。

 国連憲章はこれまでも、強力な国に適用しようとすると放り投げられてしまった。

 安全保障理事会が手をこまねくなら、行動するのは国連総会の責任だ。この議場からわれわれは訴える。ロシアは速やかに停戦し、ウクライナから撤退し、外交と対話に戻るべきだ。

 ロシアはガーナにとって長年の友人だが、互いに率直であることこそ、真の友情というものだ。

「立ち上がろう」と

ジャマイカ■ブライアン・ウォレス国連大使

 ロシアによるウクライナへの軍事的侵略を強く非難する。ウクライナの領土からのロシア軍の即時・完全撤退を求める。

 国連加盟国であり国連安保理の理事国であるロシアには、侵略行為のすべてをやめ、この紛争の平和的解決のためのすべての外交的チャンネルを開くことを求める。

 ジャマイカは、国際法の枠組みや国連憲章の原則が、大きさや地位に関係なくすべての国に安全な環境を提供すると確信している。(ジャマイカ出身の有名なレゲエ歌手、ボブ・マーリーの歌詞を引用し)起き上がろう、立ち上がろう。ウクライナ全国民の権利のために立ち上がろう。なぜならきょう、われわれすべてがウクライナ人だからだ。

ウクライナに連帯

アンティグア・バーブーダ■ウォルトン・ウェブソン国連大使

 ウクライナ政府・国民に連帯する。沈黙が(ロシアのウクライナへの侵略の)同意と誤解されないように、われわれは立ち上がるべきだ。

 新型コロナウイルスの世界的流行の影響から立ち直ろうとしているなかで、ウクライナの紛争は、世界をさらに深刻で不確実な状況に陥れる。より強い取り組みが必要とされる気候変動問題の議論を遅らせる。この状況は止めなければならない。ロシアに対して交渉のテーブルに戻ることを主張する。

 (安保理でロシア批判の決議案がロシアの拒否権で否決されことに)失望している。国連総会では、拒否権は身勝手に行使してはならないことを示す必要がある。

核兵器廃絶めざす

アルゼンチン■マリア・デルカルメン・スケフ国連大使

 本総会は、国連の創立原則を守るために開かれた。ウクライナの情勢を見捨てることなどできない。ウクライナへの侵略を糾弾し、ロシアに対しては、ウクライナ領内での不法な武力行使や軍事作戦を直ちに中止するよう呼び掛ける。

 事務総長は、ロシアが核戦力を警戒態勢に置く決定に懸念を表明した。国際社会は地球を全面的な破滅の危機にさらす核兵器の完全廃絶を目指して活動しなければならない。

 武力の威嚇やその行使による領土の取得は合法とは認められない。主権と領土保全の尊重からくる論理的な帰結だ。国際法は国際社会が承認した諸原則を定めている。それらの原則が適用されるかどうかについて、われわれに選択の余地はない。

キューバ「ロシアの安全保障を無視」

 キューバのペドロ・ペドロッソ国連大使は、ウクライナの事態について、「米国が北大西洋条約機構(NATO)をロシアの国境まで広げようと決断した結果、避けられたはずの予測不可能なシナリオが引き起こされた」と発言しました。

 さらに「ロシアの安全保障の要求を無視したのは誤りだ。国家を包囲し閉じこめて平和を実現することは不可能だ」と指摘。「米国とその同盟国は主権国家を侵略して政権交代を引き起こした。何十万もの民間人の死に責任を負っている」と米国などを非難。「先の安保理での決議案は危機の解決策の真の探求としてつくられておらず、この総会に提出された決議案にも同じ欠陥があり、攻撃的行動をとった者の責任を認めていない」と述べました。


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