2022年2月27日(日)
世界がロシア包囲
80カ国「侵略非難」決議案
国連安保理 ロシア拒否権で否決
ウクライナへの侵略を強行したロシアの暴挙に抗議が広がり、世界が包囲する形となっています。国連安全保障理事会ではロシアの孤立が際立ち、各地で抗議の輪が広がりました。欧州では、観光名所がウクライナ国旗の色でライトアップされ、連帯を示しました。ロシアでは、約2000人の科学者らが公開書簡で、侵略に「断固反対」を表明。米国の「核政策法律家委員会」は、プーチン大統領の核兵器使用の威嚇は「国際法違反」との声明を発表しました。
51カ国批判「権限乱用」
【ワシントン=島田峰隆】国連安全保障理事会は25日、ウクライナ情勢に関する会合を開き、米国などがロシアによるウクライナ侵略を非難する決議案を共同提案しました。米国は安保理理事国以外にも共同提案国を募り、報道によると日本を含む約80カ国が名を連ねました。ロシアの拒否権で否決されましたが、米欧など11カ国が賛成しました。中国、インド、アラブ首長国連邦(UAE)の3カ国が棄権しました。
決議案は、ロシアによるウクライナ侵略を非難し、ロシア軍の完全かつ無条件の即時撤退を要求。ウクライナ東部の親ロ派支配地域の独立承認の撤回を求めていました。
米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は、採決後、ロシアの拒否権行使を厳しく批判する51カ国による共同声明を読み上げました。
声明は「安保理常任理事国のロシアによって行われているからこそ、私たちにはこの国連憲章のじゅうりんに立ち向かう特別の責任がある」と主張。ロシアによる拒否権行使は常任理事国の「権限乱用」だが、ウクライナ国民や街頭で戦争に抗議している自国民、そして国連憲章に対して「ロシアは拒否権を行使できない」と述べています。
英国も「ロシアは孤立し、ウクライナ侵略への支持をまったく得ていない」と強調しました。
共同提案国のアルバニアは、「われわれは侵略を非難し続ける。自由を葬り去ることはできないというのが歴史の教訓だ」、中立国のアイルランドは、「拒否権を行使してもロシアによる侵略という事実は決して消すことはできない」と批判が相次ぎました。
一方、欧米などの対ロ制裁への反対を表明している中国は、「あらゆる行動は危機の火に油を注ぐのではなく、和らげることにつながるべきだ」と主張。「安全保障を求めるロシアの合法的な願いは留意され、適切に対処されるべきだ」などと述べました。