2022年2月26日(土)
論戦ハイライト
「やさしく強い経済」 首相にせまる
参院予算委で大門議員
大門 まず「分配」を
首相 株主配当も重要だ
大門 内部留保に課税を
首相 まずは「賃上げ」だ
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「やさしい経済が内需も拡大し、いい設備投資も増やし、本当の経済成長につながる」―。日本共産党の大門実紀史議員は25日の参院予算委員会で、岸田文雄首相が言及していた金融所得課税の強化を迫るとともに、大企業の内部留保に課税する党の提案を示して首相の認識をただしました。
金融所得課税を
所得1億円を超える富裕層は、そのほとんどが株取引の所得で、分離課税で低い税率が適用されています。大門氏は、所得1億円超で所得税の負担率が下がる「1億円の壁」があり、与党の税制調査会でも「金持ち優遇」だと問題になってきたと指摘。岸田首相が金融所得課税の見直しを先送りしたことを批判しました。
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大門 関係者によれば官邸が「(金融所得課税の)見直しで株価が下がる」と気にしていたからだと聞く。
首相 過去の(官邸の)判断は承知していない。私としては優先順位が違う。
大門氏は「こんなこともすぐに手をつけられないで、新自由主義の弊害、格差を是正するなどできるわけがない」と批判しました。
内部留保課税を
もう一つ大きな問題になっているのが大企業の内部留保の増大です。大門氏は、2001年から始まった小泉・竹中「構造改革」以降、非正規雇用の拡大→賃金・人件費抑制→利益拡大が配当・内部留保を増やしたと指摘。同時期の法人減税も内部留保拡大の大きな要因となったとして、「この20年以上、分配がおろそかにされてきた。だから大企業の内部留保が巨額に膨れ上がった」と批判しました。
大門 まずは分配。「分配から成長」の好循環を作り出すことだ。
首相 株主への配当も重要だ。適切な分配を実現していく。
大門氏は、「適切な分配」と言うがそれは「フロー(流れ)」の話であって、「ストック(内部留保)」をどうするかが重要だと述べ、日本共産党が提起した「内部留保課税」を紹介しました。
大門 総額10兆円程度の財源だ。賃金を抑えて内部留保をためたので賃金引き上げに使ったらどうか。最低賃金を5年で一気に大幅に引き上げる、その時の中小企業支援に使うよう提案している。
首相 どちらが有効か、政府としては「賃上げ」だ。
大門氏は、欧米と比較して経済成長で日本が長期停滞しているのは、富が一部の大企業や富裕層に偏在し、世の中全体に回らなくなったからだと指摘。日本共産党は「やさしく強い経済」として、▽賃金引き上げ▽社会保障の立て直し▽富裕層・大企業への応分負担と消費税減税▽気候危機打開▽ジェンダー平等―を掲げていると紹介し、「新自由主義をなくすにはこの方向しかない」と主張しました。