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2022年2月25日(金)

主張

3・1ビキニデー

核の威嚇も使用も許さぬ声を

 南太平洋・ビキニ環礁でアメリカが強行した水爆実験(1954年3月1日)から68年を迎えます。ロシアのプーチン政権がウクライナに対する軍事作戦を開始し、まぎれもない侵略行為に踏み出しました。昨年発効した核兵器禁止条約への支持と参加が広がる一方で、大国が「核抑止力」をふりかざす危険な状況がうまれているいま、ビキニデーを核兵器廃絶とともに、「侵略をただちにやめよ」の声を強く発信する日にすることが求められています。

非人道的な結末を招く

 プーチン大統領は、今回の軍事行動にあたって、ロシアが核大国であることを誇示すらしています。19日には、核弾頭も搭載可能な大陸間弾道ミサイルなども使った軍事演習を実施していました。核兵器の使用がもたらすのは、非人道的で破滅的な結末でしかありません。核兵器の使用はもちろん、その威嚇によるいかなる行動も断じて許されません。

 ビキニ被災は広島・長崎への原爆投下とともに、核兵器の恐ろしさを示しました。アメリカが南太平洋で繰り返した核実験の影響で周辺住民は汚染された故郷への帰還がいまも許されず、がんの多発など耐えがたい苦難を強いられています。当時、周辺で操業していた日本の多数の漁船員も被ばくし、放射線の後遺症に苦しみました。第五福竜丸の久保山愛吉氏の死は大きな衝撃を与え、太平洋で漁獲された魚の汚染など社会的不安も広がり、原水爆禁止運動が前進しました。被災者を放置した国の責任を追及し、国家賠償を求める運動も取り組まれています。政府は一刻も早く、被災の全容を明らかにし、高齢化する被災者と家族を救援する必要があります。

 核兵器禁止条約は、被爆者と核実験被害者の「容認しがたい苦難と損害に留意」(前文)すると明記しました。核兵器使用が甚大な被害を引き起こすことへの危機感が、画期的な条約を生み出す原動力となりました。核大国は核兵器の脅威を直視し、「核抑止力」への固執をやめるべきです。国連憲章と国際法にもとづく紛争の外交的解決に力を注がなければなりません。

 唯一の戦争被爆国の政府である岸田文雄政権は、中国や北朝鮮の動きを口実に、アメリカの「核の傘」への依存を深めています。岸信夫防衛相は、他国領空内に自衛隊機が侵入して爆撃することも「排除しない」と述べました。9条改憲と一体の「戦争する国」づくりを阻むことが不可欠です。

 日本政府に禁止条約への参加を求める署名が、思想・信条の違いを超えて広がっています。自治体の意見書も全自治体の35%に達しています。「核兵器は禁止すべきだ」が圧倒的多数です。政府は条約の批准をめざし、今夏に予定される核兵器禁止条約の第1回締約国会議に参加すべきです。

内外の世論広げる契機に

 被災68年のビキニデー(28日~3月1日にオンラインによる全国集会など開催)は大きな意義を持っています。禁止条約の締約国会議で議長を務めるオーストリアのアレクサンダー・クメント大使が参加することにも注目が集まっています。

 「核兵器のない世界」を求める世論を内外に大きく広げる契機にすることが強く期待されます。


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