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2022年2月10日(木)

レーダー

石原氏死去 報道は無検証

“遺志”継ぎ改憲狙う安倍氏

 日本国憲法99条には「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と書かれています。

 相変わらず99条違反をしている一人といえば、元首相の安倍晋三衆院議員です。

 インターネット上の「NHK NEWS WEB」は、元東京都知事の石原慎太郎氏の死去を受けた安倍氏の発言を配信。自身の派閥の会合で石原氏の“遺志”を継いで「憲法改正に取り組んでいきたい」と述べました。

 憲法99条を前提とした報道がされていないのはいかがなものか。

 一方、1日放送のNHK「ニュースウオッチ9」は、トップニュースで冒頭の約8分を割き、石原氏をほめたたえる報道でした。

 亡くなった人は反論できないから生前の言動を非難することは公平ではないとする故事成語「死屍に鞭打つ(ししにむちうつ)」があります。しかし、賞賛すべきという意味ではありません。

 政治家・石原慎太郎氏の言動を検証して報道することは必要なはずです。それを忘れてはいけない問題は複数あります。

 自民党衆院議員だった1973年、タカ派議員集団「青嵐会」を立ち上げ、「いちから憲法を作り直す」と公言、改憲に執念を燃やしました。都知事時代、都税を投入して新銀行東京を設立。その後、巨額の損失を出しました。土壌汚染が明らかになった「豊洲市場」の移転を強引に進めて都議会で責任を追及されました。女性、障がい者、外国人に対する数々の差別・蔑視発言…。

 そんな石原氏を2012年の総選挙で国政に復活させたのは「日本維新の会」です。共同代表を務めたこともありました。

 放送法1条は「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること」「放送に携わる者の職責を明らかにすることによって、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること」と定めています。

 安倍氏や石原氏の発言を検証しない報道は民主主義の危機です。(小川浩)


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