2022年2月8日(火)
主張
政党助成法の廃止
民主主義を壊す制度なくそう
日本共産党国会議員団が、参院に政党助成法廃止法案を提出しました。国民の税金を政党に配分する政党助成金は、「思想・信条の自由」や「政党支持の自由」を踏みにじる憲法違反の制度です。国民に依拠した財政活動を行うという政党本来のあり方にも反しています。制度をつくった建前である企業・団体献金廃止は実行せず、政治腐敗とモラル崩壊は、いっそうひどくなっています。弊害が明らかな政党助成金の廃止を、各政党・各会派が真剣に検討するよう、世論と運動を巻き起こすことが不可欠です。
思想・信条の自由を侵害
政党助成金制度は、1990年代の「政治改革」の中で導入されました。政党や政治家が企業・団体献金に依存したままでは金権腐敗政治の根が断てないというのが口実でした。リクルート事件やゼネコン汚職など、金権腐敗事件が相次いでいた時期です。衆院への小選挙区制導入と一体になった政党助成金制度は、「政治改革」の2本柱の一つといわれました。
国民1人当たり年間250円の税金を国政選挙での得票率や議席数に応じて、届け出た政党に割り当てる仕組みです。国民の「思想・信条」や「政党支持」にかかわらず、自分が支持しない政党にも、強制的に寄付させられることになります。日本共産党は制度の導入当時から、政党助成金を憲法違反の制度だと批判し、廃止を求めてきました。これまで1円も受け取っていません。
政党助成金は年間約320億円です。1995~2021年の27年間で支給された総額は約8500億円に上ります。自民党や日本維新の会は、収入の約8割を政党助成金に依存しています。自民党などは政党助成金とともに金権腐敗政治の温床といわれる企業・団体献金ももらい続けており、“二つの財布”を持つといわれます。
政党助成金は毎年、総務省に使途報告を提出することが義務付けられているものの、使途が決められているわけではありません。河井克行元法相・案里元参院議員夫妻の大規模買収事件では、自民党本部から提供された1億5000万円もの資金が買収の原資になった疑いが濃くなっています。その8割にあたる1億2000万円が政党助成金でした。自民党は詳しい説明を避け続けています。政党助成金が選挙という民主主義の根幹を破壊していたとすれば、あまりに深刻です。
企業・団体献金とともに、政党助成金に依存し続けることは政党活動にとっても有害です。
政党は本来、党員の党費や支持者の寄付など、自由意思にもとづく国民の浄財で活動を賄うべきものです。大企業からの献金や税金頼みでは国民に根を下ろした活動がおろそかになります。政党助成金に依存する政党は、お金の感覚がマヒし、国民の痛みもわからなくなります。そうした制度のゆがみが政党の堕落と劣化を生むのは明白です。
27年間の実態の検証を
年間320億円の政党助成金を廃止すれば、それを財源に、深刻化するコロナへの対応や暮らしと福祉の対策を強化することも可能です。
制度開始から27年間の実態を検証し、廃止に向けて、大本から見直す議論が今こそ必要です。