2022年2月6日(日)
主張
オミクロン株拡大
命・生活・営業守る包括策示せ
新型コロナウイルスの変異株、オミクロン株の拡大に伴って全国の感染者数は1日当たり10万人を超え、累計で300万人を上回りました。まん延防止等重点措置が出された都道府県は7割以上となりました。強い感染力を持つ変異株の特徴を踏まえた包括的対策が必要です。岸田文雄政権は、新しい事態に即した感染対策の全体像を示さなければなりません。
追加接種の加速へ責任を
岸田首相は1月の施政方針演説で、強力な変異株の出現という「最悪の事態」を想定して万全の体制を整える努力をしてきたと強調しました。しかし、今回、感染の「第6波」が起き、政府の取り組みがまったく不足していたことが露呈しました。
3回目のワクチン接種率はいまだに5%程度にとどまり、先進国の中で最下位です。感染急拡大を受けて2回目接種との間隔を短縮する方針に転じましたが、昨年、政府が医学的な根拠もなく間隔を「原則8カ月以上」とし、それを1月7日まで続けたことが響いています。接種を加速するために政府はワクチンの供給を急ぎ、自治体を最大限支援すべきです。
検査体制も自治体任せになり、検査キットの不足などで希望者がすぐに検査を受けられない事態が起きています。資材の増産、調達や陽性者の保護が急務です。
感染が急拡大したため外来、入院とも医療が急速にひっ迫しています。救急車を呼んでも搬送先の病院がなかなか見つからない「救急搬送困難事案」はコロナ前の5倍近くに増えています。
重症者は3日時点で4カ月ぶりに1000人を超えました。医療体制がひっ迫する中で自宅療養を余儀なくされる感染者も増えています。自宅に放置されて命が失われる事態を起こさない体制づくりが欠かせません。
経済活動への打撃も深刻化しています。飲食店をはじめさまざまな業種で業績不振が長期化し、コロナ関連の経営破綻は累計で2800件を超えました。倒産、休廃業がさらに増えると予想されます。ところが岸田政権は、以前より縮小させた事業者支援策を昨年決めたまま拡充しようとしません。
1月31日に申請が開始された事業復活支援金は支給額が一昨年の持続化給付金の半分以下です。当時は家賃支援給付金もありました。事業復活支援金の上限額は以前の二つの給付金を合わせた額の8分の1しかありません。これでは年度末を控えて事業継続の見通しが立ちません。事業復活支援金は少なくとも持続化給付金並みに増額する必要があります。
政府としての戦略が必要
今必要なことはこれまでの政府の対応の問題点を検証し、反省の上に立って抜本的に対策を立て直すことです。
岸田政権は、1日当たりのワクチン接種数や検査数の引き上げなど目標を持って遅れを打開することに後ろ向きです。成り行きに任せていたのではさらに後手を繰り返すことになります。政府が感染状況に即した戦略を持つことが何よりも重要です。
ワクチン接種、検査体制の確保、医療・保健所の体制強化、補償と生活支援など、新たな感染の波から国民の命と生活、中小企業の営業を守る政策をパッケージで示すことが政府の責務です。