2022年2月1日(火)
薬局の無料検査 現場は―
防護不十分「毎日怖い」
問い合わせ殺到 検査キット不足
昨年末から都道府県が新型コロナウイルスの無料検査を始めています。ただオミクロン株の急拡大に伴い、検査キットが不足するなど、さまざまなトラブルが起きています。都内のチェーンの薬局で無料検査にたずさわる男性(30代)が話す実情は―。(津久井佑希)
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「『濃厚接触者かもしれないから』『喉が痛いから』という人も来る。防護もマスクのみと不十分な状態で、毎日怖いと感じながら仕事をしている」。この男性はそう嘆きます。
男性が働く薬局が都から委託を受け無料検査を始めたのは昨年末。PCRと抗原検査の2種類です。手順通りに検査が行われているか検査を受ける人の近くで確認する、立会人という役割があります。薬剤師ではない職員にも割り当てられています。
準備できず
「問い合わせの対応の仕方も統一できていなかったし、準備ができていないうちに始まってしまった…」。実際に検査が始まると、すぐに問い合わせの電話が殺到しました。「初日は電話での問い合わせがとにかく途切れなかった。通常業務に手が回らないときもあった」と振り返ります。
1日に用意されるPCR検査キットは10個程度。日によっては開店前から店の前に列ができることもあり、整理券を配って対応しているといいます。「本部はシフトを調整して人員を増やしても良いというが、そもそも従業員が少ないので無理です」。本来の業務に支障が出ているため、調剤業務を中心に残業時間も長くなっています。
有症者来店
都は発熱などの症状がない人を無料検査の対象としています。しかし、オミクロン株の拡大とともに状況が一変。喉の痛みなどの症状が出ている人や、濃厚接触者の可能性のある人が直接来店するようになったといいます。
防護具はマスクと使い捨て手袋のみ。カウンターの上には簡単な仕切りがあるだけ。しかもマスクは支給されません。本部からは対応時に2メートルの間隔を空けるようにと指示されています。ただスペースのない現場では難しいといいます。男性は「調剤薬局なので、病気の人や高齢者も来店する」と懸念を語ります。
日本共産党の前田まい三鷹市議は自身のツイッターで、薬局などで行われている無料検査の現状を発信しています。男性は「私のところだけでなく、他のところも同様の現実だとわかった。前田市議は現場の意見を世間に伝えてくれた」と話し、こう続けます。「今の状況で無料検査を薬局が担うのは無謀だと思う。個別の店舗で問い合わせ対応するのではなく、窓口で問い合わせを受けてから各店舗の在庫状況に応じて割り振るなど対応を行政と本部には検討してほしい」