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2022年1月29日(土)

主張

男女の賃金格差

実態を公表し是正につなげよ

 日本は男女の賃金格差がきわめて大きい国です。女性の賃金は、正社員で男性の7割台、非正規雇用を含む年間平均給与では約240万円の男女差があります。40年勤続として試算すると、生涯賃金では1億円近い差です。

 日本共産党は昨年の総選挙で、男女の賃金格差を政治の責任で是正することを、「ジェンダー平等社会を築く上での土台中の土台」の問題として提起しました。

ジェンダー平等の土台

 “女性の賃金は男性よりも低いのが当たり前”という風潮と慣行は、職場や家庭でも男女不平等をつくりだしています。女性の労働は家計補助として扱われ、パートなど非正規雇用に追いやられてきました。共働き夫婦に子どもが生まれれば、賃金の低い妻が休職・退職を選び、家事や育児の責任を引き受けがちです。離婚すると経済的に自立できないため、配偶者の暴力から逃げられない女性がいます。賃金の平等は、女性の社会的地位を高め、ジェンダー平等を達成するための中心課題です。

 欧州連合(EU)は、女性の賃金が男性の8~9割であることを重大な問題ととらえ、企業に男女の賃金格差の公表を義務づけ、是正しない企業に罰則を科す施策を打ち出しました。日本もこの取り組みに学ぶ必要があります。

 日本政府のこの間の姿勢は後ろ向きでした。有価証券報告書にかつてあった男女別平均賃金の記載欄を、企業の負担軽減を理由に1999年度から廃止しました。2015年成立の女性活躍推進法でも、賃金格差の公表はもとより把握すら義務化しませんでした。

 主要国で最悪の男女賃金格差を固定化させてきた政府の責任は重大です。育児負担がないはずの単身世帯同士で比べても、女性の賃金は男性の7~9割です。女性大卒者の年収は、男性高卒者の年収と同水準です。大きな賃金格差が女性の進路選択に影響を与えていることは、政府も否定できません。情報開示を義務づけることで企業に説明責任を果たさせ、差別的な取り扱いがあれば是正させていかなければなりません。

 開会中の通常国会では重要な動きが出ています。20日の衆院本会議の代表質問で日本共産党の志位和夫委員長が、格差解消へ「企業に実態を公表することを義務づけるべきではないか」とただすと、岸田文雄首相は「有価証券報告書の開示項目にするなど具体的に検討する」と答弁しました。21日の参院本会議では、小池晃書記局長が「女性活躍推進法でも、男女賃金格差の把握と公表を義務づけるべき」だと迫りました。政府は真剣に受け止めるべきです。

社会と経済の発展に向け

 衆院予算委員会で日本共産党の宮本徹議員に対し、野田聖子男女共同参画担当相は「諸外国においては一定規模以上の企業に公表の義務づけが行われている例もあると承知している」とし、日本でも「具体的に検討し、速やかに着手したい」と答えました(25日)。世論と運動と国会論戦が貴重な到達点を築いています。開示だけでなく、格差是正を義務付ける仕組みが不可欠です。

 人口の半分を占める女性の力が賃金格差で抑え込まれていることは、社会と日本経済の発展にとっても大きな損失です。さらに力を合わせ、是正を実現しましょう。


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