2022年1月23日(日)
代表質問 各党の立ち位置は
共産党 自民政治への対決軸鮮明
維新など 「規制緩和」軍事対応迫る
19日から21日まで衆参本会議で行われた代表質問で、日本共産党は、どの問題でも財界応援・アメリカ言いなり政治からの根本的な転換を求め、自民党政治との対決軸を鮮明に打ち出しました。その中で、現在の国政での政党配置も鮮明になりました。
問題点を提起
コロナ対策では、日本共産党の志位和夫委員長がワクチン3回目接種やPCR検査体制の遅れなど緊急にただすべき四つの問題点を提起したのに対し、岸田文雄首相はまともな説明もせずに事実上改善を拒否。在日米軍基地が水際対策の「大穴」になっているとの志位氏の指摘に、岸田首相は「わが国が米軍に特別な扱いをしているという指摘は当たらない」とアメリカ言いなりへの無自覚ぶりを露(あら)わにしました。
一方、日本維新の会の馬場伸幸共同代表は、新型コロナの感染症法上の位置付けを現在の「2類相当」から季節性インフルエンザ相当で危険度が最低の「5類(相当)」に引き下げるべきだと主張。十分な根拠もなしに季節性インフルエンザと同じ扱いにすべきだというのは、国民をミスリードし、感染のまん延を容認することになる危険な議論です。これには岸田首相も感染急拡大中の変更は「現実的ではない」と答えました。
暮らし・経済問題では、「新自由主義の弊害」に言及し「新しい資本主義」を掲げる岸田首相に対し、志位氏が「新自由主義が日本経済をもろくて弱い経済にしてしまった事実を認めるか」と追及。労働法制の規制緩和など新自由主義的な政策を進めた歴代自民党政権の責任を問うたのに対して、岸田首相は一切反省を示さず、「自民党は国民生活の発展に尽くしてきた」と開き直り、改めるつもりがないことを示しました。
一方、維新は、「新しい資本主義」を掲げる首相に対して、「奇をてらったレトリックを弄(ろう)している暇があるなら、規制改革・構造改革に本腰を」(馬場氏)などと主張。「岸田総理は、新自由主義的な政策の是正を掲げ、改革に後ろ向きのように見える」(浅田均参院議員)などと述べ、労働分野などでのいっそうの規制緩和を求めました。
さらに、浅田氏が「地産地消型の電力」と称して「小型原子炉」の検討を迫ると、岸田首相は「小型炉や高速炉をはじめとする革新原子力の開発などの取り組みを着実に進めたい」と呼応しました。国民民主党の玉木雄一郎代表も「日本も小型モジュール炉、SMR(小型軽水炉)や高速炉の実証実験に取り組むべきだ」と主張しました。
悪政をあおる
「戦争する国」づくりをめぐる問題でも各党の立場が鮮明になりました。岸田首相が、中国との対立を強める米国に追随して「敵基地攻撃能力」保有検討に踏み出していることについて、志位氏が軍拡競争の悪循環を厳しく批判し、平和外交への転換を求めました。これに対して、維新の馬場氏は逆に「もはや台湾有事は『いつ起きるのか』という次元」だと危機をあおり、「敵基地攻撃能力の保有は不可欠」だと首相に軍事対軍事の対応を求めました。安倍晋三元首相と同類の議論です。
玉木氏も北朝鮮などのミサイル開発をあげ、「敵基地攻撃能力の保有の検討は必要だ」と主張しました。
改憲問題でも、維新が「具体的なスケジュールを」(馬場氏)と岸田首相に迫るなか、玉木氏も「自民党の4項目の原案にこだわらずに柔軟に議論すべきだ」と水を向け、岸田首相が「積極的な議論を期待している」と応じる場面もありました。
維新が首相にいっそう危険な悪政をあおり、一部の党がひっぱられるような動きが強まっています。