2022年1月21日(金)
核兵器企業へ「投資しない」
世界100超 金融機関
ICANなど報告書
“核禁条約が規範変えた”
国際NGOの「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)とオランダのNGO「PAX」は19日、2021年に核兵器関連企業への投資を制限する方針をもつ金融機関が101に上ったとする報告書を発表しました。総額14兆ドル(約1600兆円)もの投資を阻止したことになり、これらの金融機関の多くが核兵器関連企業を除外した理由として、昨年1月に発効した核兵器禁止条約をあげました。(石黒みずほ)
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これらの金融機関は、核兵器の製造、開発、配備、貯蔵、実験、使用に関わる企業への投資を制限する方針をもちます。こうした金融機関の数は、16年には54、核禁条約が採択された後の18年には63となり、同条約の発効を受けた今回の報告書ではさらに数が増加しました。(グラフ)
ICANは、核禁条約が「変化を生み出している」と指摘しています。
101機関のうち59機関を核兵器への投資除外の包括的な方針を掲げる「殿堂入り機関」、42機関をそれに満たない「次点機関」として位置づけ。「殿堂入り機関」には、オーストラリア、ドイツ、メキシコ、スイス、ニュージーランド、英国、米国などの金融機関が入りました。方針を発展させたことで、前回の「次点機関」から新たに「殿堂入り機関」に加わった機関も五つあります。
報告書は「核兵器は許容されることがあってはならない兵器だ」と強調。「ネガティブスクリーニング(倫理的でないものを除外する投資方法)は世界的規範を実現する強力な方法だ」と述べました。
また核禁条約が、核による壊滅的被害から人々と環境を守るとともに、これまで核の被害にあってきた人々を救済するものであると指摘。「金融機関が投資によって核兵器廃絶に貢献することは、全世界で人権と環境を守ることに寄与することにもなる」と述べました。
ICANのフィン事務局長は「この報告書は、核禁条約がいかに規範を変え、金融機関に優先事項の再考を迫っているかを示している。これら金融機関の先導者らは新たな核軍拡競争を拒否している」と指摘しました。