2022年1月17日(月)
NHK日曜討論 小池書記局長の発言
日本共産党の小池晃書記局長は16日のNHK「日曜討論」で、新型コロナウイルス・オミクロン株への対応、経済対策など通常国会の焦点となる課題について各党幹部と議論しました。
オミクロン株の対策3点を主張
小池氏は、感染が急拡大するオミクロン株の対応について問われ、「岸田首相は第5波から感染拡大までに3カ月あったにもかかわらず、十分な備えをしてこなかった。PCR検査の無料化を打ち出したが自治体任せで、国は件数も陽性者数も把握していない」と批判しました。
小池氏は、(1)迅速で安全なワクチン接種を進める(2)国の責任でPCR検査をいつでも、誰でも、無料で行う(3)保健所、地域の開業医、病院に対する支援を緊急に行う―という3点を主張。「第5波で200人以上の方が自宅で亡くなった。国にはこれを絶対にくり返さない責任が求められる」と強調しました。
自民党の茂木敏充幹事長は「3カ月、何もしてこなかったという話があったが、日本はG7(主要7カ国)の中で最も厳しい水際措置を取った」と強弁しました。
日本維新の会の藤田文武幹事長は、新型コロナの感染症法上の位置付けを現在の「2類相当」から、季節性インフルエンザ相当で危険度が最低の「5類(相当)」に引き下げる検討をすべきだと主張しました。
小池氏は、新型コロナ感染症を「5類」にすることについて「インフルエンザと同類にすることはコロナ感染のまん延を容認することになる。時期尚早だ」と批判。「迅速で安全なワクチン接種、頻回にPCR検査を受けられるようにしていくことが感染対策と日常生活回復の両立にとって決定的だ」と強調しました。
その上で、「事業復活支援金」は持続化給付金の半分しかなく、10万円給付は子どものいない課税世帯にはいくら収入が減って困っている人にも届かないと指摘し、「生活と営業を支える十分な補償をやるべきだ」と主張しました。
在日米軍基地は水際対策の大穴
小池氏は、コロナ感染拡大の要因の一つとして在日米軍基地の感染状況が指摘されていることについて問われ、「先ほど茂木幹事長は『G7で最も厳しい水準の水際対策』と言ったが、まさに米軍基地という大穴が開いていた。昨年9月以来、米軍は出国時の検査をやっていなかった。日本に知らせず、日本も確認していなかった」と厳しく批判しました。
小池氏は、昨年12月に沖縄の玉城デニー知事が米軍関係者の入国禁止、基地からの外出禁止をアメリカ側に求めるように岸田首相へ申し入れたにもかかわらず、「政府は当初は『米軍基地由来』の感染だということすら認めなかった」と指摘。「年が明けてからようやく米軍の外出制限が始まったが結局遅すぎたし、これも米軍任せになっている。こうした失政が感染を広げた一因となったことは間違いない。日米両政府の責任は重大だ」と重ねて批判しました。
さらに、日米地位協定のもとで検疫が米軍任せになっており、日本側が関与できない問題点を指摘。「国民の命を守れず、独立国にあるまじき主権の侵害だ。地位協定の抜本改定の議論を通常国会で始めるべきだ」と主張しました。
立憲民主党の西村智奈美幹事長は「地位協定の運用がうまくいっていないことがコロナの問題で象徴的に表れた。地位協定の改定を政府として求めていく必要がある」と述べました。
維新・藤田氏は「コロナをきっかけに地位協定を政局化すべきでない」などと述べました。自民・茂木氏は「今回起こった事案は大変遺憾だが、今の地位協定だから起こっている問題ではない」などの言い訳に終始しました。
「やさしく強い経済」の実現へ
茂木氏は岸田政権が掲げる「新しい資本主義」について問われ、「さまざまな業種、さまざまな企業の投資が進み、それによって生まれた利益が国民に回る」などと、破綻したトリクルダウン(滴り落ちる)を述べるにとどまりました。
小池氏は、日本が「成長しない国」になった原因について、労働法制の規制緩和で非正規雇用が4割に増え、労働者の実質賃金を下げてきたこと、社会保障の連続改悪で将来不安が高まっていること、相次ぐ消費税増税の一方で大企業・富裕層には減税をしてきたことなどをあげました。
そして、「岸田首相はそのことへの反省が一切ない。茂木氏の言ったことも、成長産業を支援すれば、いずれ労働者に回るという話で、新しくもなんともない。強いものをより強くすれば、経済も強くなると言って、弱い経済にしてきた『新自由主義』を転換し、『やさしく強い経済』をつくっていくべきだ」と強調しました。
通常国会に臨む重要課題は何か
最後に通常国会へ臨む姿勢が問われました。
小池氏は「政治とカネ」について、文書通信交通滞在費の日割り支給への改革、使途公開を主張。「あわせて320億円の政党助成金がこのままでいいのかという大問題がある。私たちは廃止すべきだと主張しており、国会で議論すべきだ」と強調しました。
森友学園問題での公文書改ざんをめぐって政府が訴訟を「認諾」で打ち切ったことについて「政府が真相解明しないのであれば国会できちんとやるべきだ」と真相解明を求めました。
また、国土交通省の統計改ざん問題について、検証委員会が14日に公表した報告書で国交省の組織的な隠蔽(いんぺい)工作が明らかになったと指摘し、「何のために行ったのか、GDP(国内総生産)に影響がなかったのか。これも集中審議が必要だ。隠蔽、改ざんを許さない政治を実現しなければいけない」と述べました。
小池氏は「憲法を生かしてジェンダー平等、気候危機の打開に向かう。そういう政治を実現するために日本共産党は全力をあげたい」と決意表明しました。