2022年1月16日(日)
主張
コロナと中小企業
経済の主役支える補償・支援を
新型コロナウイルスの変異株オミクロンによる感染が急拡大し、必死にがんばってきた中小企業・小規模事業者がまたもや危機に見舞われています。これまで持ちこたえてきた企業の多くが今後、倒産・廃業に追い込まれるおそれが強まっています。政府がまともな補償を行うとともに、今こそ本格的な支援に乗り出さなければなりません。
倒産・廃業防ぐ対策急務
民間信用調査会社、東京商工リサーチがまとめた2021年のコロナ関連倒産(負債1000万円以上)は1668件と、20年の2倍に増えました。21年の倒産全体(6030件)の3割近くを占めています。その圧倒的多数が中小企業です。最も多い業種が飲食業で、300件でした。
法的整理など特段の手続きをとらない休廃業・解散件数は、帝国データバンクの集計で、21年に5万3000件前後と見込まれ、倒産の9倍にのぼります。
いずれの調査も、業績不振が長期化し、過剰債務に陥った企業が増えているとして、今後、コロナ対策融資の返済が本格化するに従って、倒産や休廃業が増えることを懸念しています。加えて、原油など原材料価格の高騰が中小企業を苦しめています。
内閣府の「景気ウォッチャー調査」(21年12月)では「コロナ関連の返済が始まり、苦しくなることが予想される」(南関東の建設業)、「原油価格の高騰による原材料の値上がり分を販売価格に転嫁できない」(東海のパルプ・紙製造業)と、事業者から二重三重の不安の声が相次ぎました。
コロナの国内感染が起きてから2年間の政治は、持続化給付金の支給を1回で打ち切ったことに示されるように中小企業に冷たいものでした。岸田文雄政権による事業復活支援金は支給額が持続化給付金の半分しかなく、ほとんどが緊急事態宣言下だった21年1~10月は対象外です。持続化給付金、家賃支援給付金を再度支給するとともに、コロナ危機を乗り越えるまで継続的に支給すべきです。
緊急事態宣言で売り上げが半減した事業者への国の支援金が理不尽な“書類不備”を理由に支給されない「不備ループ」が改善されないのは大きな問題です。事業者の立場に立った丁寧な対応が求められます。
コロナ対応の緊急借り入れで積み上がった中小企業の債務については軽減や免除の仕組みをつくることが重要です。
雇用を維持するための雇用調整助成金のコロナ特例も危機収束まで続ける必要があります。
大企業優先を切り替えよ
中小企業は日本の企業数の99・7%を占め、従業員数は日本企業全体の7割と、文字通り地域経済と雇用の根幹です。中小企業の維持、発展を支える施策が欠かせません。
岸田政権が補正予算で設けた半導体メーカーへの支援では大企業の一工場に約4000億円を助成します。国の中小企業対策費の2倍以上にあたります。大企業優遇の政策を切り替え、中小企業予算を1兆円規模に増額すべきです。
下請法や独占禁止法は大企業の優越的地位の乱用を禁じています。大企業と中小企業との公正な取引を保障するルールをつくることが急務です。