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2022年1月14日(金)

岸田首相 偏る「聞く力」

国会での論戦避け続け 出演メディアえり好み

右派雑誌にも登場 目立つ政権追従報道

 岸田文雄氏が首相に就任して以来、11日で100日。国会の論戦にまともに臨もうとせず、記者会見でも十分な時間をとらない一方で、メディアを選別して出演したり、右派メディアのインタビューに応じる姿が目立ちます。首相の「聞く力」は偏っているのではないか…。(藤沢忠明)


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 象徴的だったのは、7日です。新型コロナウイルス対策のまん延防止等重点措置の沖縄など3県への適用を決定した際、首相は記者会見を開きませんでした。感染拡大が米軍基地から始まっている状況を踏まえ、野党は国会への事前報告を求めていたにもかかわらず、首相は応じず、午後6時前に公務を終えていそいそと向かった先は、東京都内の読売新聞グループ本社。「ビューラウンジ」で、代表取締役主筆の渡辺恒雄氏らと会食しました。

13ページにわたり寄稿

 改憲や軍拡を毎号のようにキャンペーンしている右派メディアとの関係も重大です。

 衆院解散翌日の昨年10月15日、首相は、月刊誌『Hanada』『WiLL』のインタビューに相次いで応じました。投票日直前に発売された『Hanada』12月号は、「岸田文雄総理『憲法改正宣言!』」と取り上げました。

 鹿児島、宮崎、千葉で遊説した10月29日には、両誌の常連執筆者である右派ジャーナリスト、桜井よしこ氏の東京・赤坂の事務所でインターネット番組に出席しました。

 1月8日発売の『文芸春秋』2月号には、「私が目指す『新しい資本主義』のグランドデザイン」を13ページにわたって緊急寄稿しています。

 岸田首相がメディアを選別して出演する番組の特徴は、メディア側が深刻なコロナ対策や岸田氏のいう「新しい資本主義」の中身、敵基地攻撃能力の検討などの軍拡路線の是非を国民の視点や立場に立ってただそうとしないことです。

 首相就任直後の昨年10月10日、フジテレビの「日曜報道ザ・プライム」に生出演。自民党総裁選で格差是正につながるとして見直しを打ち出していた「金融所得課税」について、「当面触ることは考えていない」とあっさり、“公約”を撤回しました。

 臨時国会が閉会した昨年12月21日以降、メディアを選別した首相の出演が続きました。

「自宅放置」再来に

 12月27日には、産経新聞とニッポン放送の企画用に俳優の谷原章介氏と対談。1月1日に放送されたニッポン放送の番組では、臨時国会で衆院憲法審査会が開かれたことに触れ、「いよいよ議論の主戦場が国会に移った」などと改憲論議への期待感を表明しました。

 伊勢神宮参拝から帰京した1月4日夜には、BSフジの「プライムニュース」に生出演。この日、新規感染者が1268人と3カ月ぶりに1000人を超したにもかかわらず、首相は「限られた医療資源を有効に活用するとの考えに基づき、入院措置などの対応を考えていく」とのべるだけ。「自宅放置」の再来につながりかねません。

 同番組で司会者が、首相の「車座対話」にふれ、「これまでの自民党のやり方と異質だと思う」と首相を持ち上げるなど、一連の首相出演番組では、テレビ局側からの追従ぶりが目立ちます。

公共の電波使うか

 「岸田首相×橋下徹と生激論」と銘打った9日のフジテレビ「日曜報道ザ・プライム」は、冒頭、維新元代表・橋下徹氏のAI(人工知能)に、首相が「私のことは好きですか」と問いかけ、「大好きです」との返答に首相が「ありがたいことです」。公共の電波を使ってやることか。

 同日のBSテレ東「NIKKEI日曜サロン」では、進行役の芹川洋一日経新聞論説フェローが、安倍晋三元首相や麻生太郎自民党副総裁らとの関係など、「(政権運営は)結構、お上手にやられている」。

 芹川氏は、昨年12月27日、政治ジャーナリストの田崎史郎氏らとともに、東京・神田錦町のレストランで首相と会食した仲。この会食には、昨年12月6日付毎日新聞に、何の根拠も示さず、ひたすら日本共産党をたたく内容のコラム「風知草」を執筆した同紙特別編集委員の山田孝男氏も参加しています。

 首相との密接な関係が目立つ読売新聞の1月1日付「社説」は、「『新しい資本主義』への転換や『聞く力』を強調する姿勢には国民の共感が寄せられているが、真価が問われるのはこれからだ」と岸田政権への期待を表明しています。権力を監視すべきメディアには、政権との距離が問われています。


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