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2022年1月7日(金)

主張

沖縄の政治戦

新基地阻み平和な島の一歩に

 今年は、沖縄の本土復帰から50年です。県民が復帰に求めたのは、当時の琉球政府主席・屋良朝苗氏が政府への建議書に記したように「基地のない平和の島」でした。しかし、県民の願いはかなわず今も広大な米軍基地が残され、名護市辺野古では復帰後初の新基地建設が強行されています。基地に起因するコロナ感染の急激な拡大という深刻な問題も生まれています。沖縄は今年、名護・南城両市長選(23日投票)を皮切りに、辺野古新基地の是非などを争点に重要な選挙が相次ぎます。新基地ノーの審判を下し、県民の願いを実現する道を切り開くチャンスです。

岸田強権政治にノーを

 沖縄の米軍専用基地は1972年の復帰時に約2万8千ヘクタールあったのが、現在は約1万8千ヘクタールと3分の2に減りました。しかし、全国の米軍専用基地面積に占める割合は、復帰時の58・8%から70・3%へと増えました。国土面積のわずか0・6%の沖縄に過重な負担が背負わされているのは明白です。

 米軍基地が過度に集中するもと、県民は、航空機の騒音や排ガスの悪臭、墜落や不時着、部品落下、有機フッ素化合物(PFAS)の流出をはじめ環境汚染、米兵らの刑法犯罪などに苦しみ続けています。基地の存在は、沖縄経済発展の阻害要因にもなっています。

 沖縄の地元紙・琉球新報が昨年11月に実施した県民意識調査では、米軍基地を「撤去すべきだ」が25・8%、「縮小すべきだ」が36・8%で、合わせて62・6%に上っています(他に「どちらともいえない」25・6%、「維持すべきだ」7・2%など)。コロナ対策をはじめ米軍に日本の法律が適用できない根拠となっている日米地位協定の改定とともに、基地の抜本的な縮小・撤去は喫緊の課題です。

 とりわけ、市街地の中心に位置し、「世界一危険」な普天間基地の閉鎖・撤去は待ったなしです。岸田文雄政権は、同基地の危険性を除去する「唯一の解決策」として辺野古新基地建設に固執しています。しかし、県民はこれまで知事選や県民投票などで繰り返し新基地反対の民意を示してきました。

 昨年11月、玉城デニー知事は、辺野古新基地の埋め立て工事で軟弱地盤改良のための設計変更申請を不承認にしました。防衛省沖縄防衛局が軟弱地盤の最深部で必要な調査を実施しておらず、改良工事後に安定性が確保できるか不確実であることなどが理由です。

 辺野古新基地は地盤改良が仮にできたとしても、防衛省の試算で米軍への提供までに約12年かかるとされています。普天間基地の危険性の早期除去につながらないことは明確になっています。

 岸田政権は、知事の不承認処分に対し沖縄防衛局長が国土交通相に取り消しを求める審査請求を行うという、不当な対抗措置を取りました。新基地を押し付ける強権政治にノーの声を突き付けなければなりません。

9条を生かす外交こそ

 沖縄の米軍基地は米中対立の激化のもとで一層強化されようとしています。しかし、それは沖縄を再び戦場にしかねない危険な動きです。県民が復帰に当たって希求したのは、日本の平和憲法でした。東アジアを平和と協力の地域にするため、憲法9条を生かした平和外交を求める運動と世論を大きくしていくことが必要です。


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