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2022年1月3日(月)

米21州35郡・市 最賃引き上げ

NPO「10年の活動実る」

 【ワシントン=島田峰隆】米国では1日、21の州と35郡・市で最低賃金が引き上げられました。民間非営利団体(NPO)の全米雇用法プロジェクト(NELP)によると、このほか4州と21郡・市で、年内に引き上げが実施される予定。今年は最賃時給15ドル(約1700円)を求める労働者の運動開始から10年の節目の年です。NELPは引き上げについて「労働者の運動の成果」と指摘しています。

4州も年内に

 1日に引き上げが実施された州のうちニューヨーク州とカリフォルニア州では、すべての労働者あるいは一部の労働者を対象に最低賃金が15ドルになりました。

 NELPは「記録的な数」の自治体で引き上げが実現し、州レベルでついに時給15ドルが実施され始めたと指摘。「この10年間に、低賃金労働者が自ら組織し、より高い賃金を要求し勝ち取ってきた成果だ。彼らの運動は自治体レベルでの最賃引き上げだけでなく、全米に労働者の新しい運動の種をまいた」と強調しました。

 郡・市レベルでは年内に47自治体が最賃15ドル以上になります。

 最賃時給15ドルを求める運動は12年秋にニューヨークのファストフード労働者が始めました。運動団体「ファイト・フォー・15ダラーズ」が発足し、全米規模の一斉ストライキや労働組合づくりに取り組んできました。

 新型コロナウイルスの感染が広がるなか、低賃金で不安定な雇用がサービス業や最前線の職場で働くアフリカ系住民の女性、中南米系、アジア系の住民らに集中していることが浮き彫りになりました。NELPは、レストランなどで働く労働者が低賃金や感染しやすい危険な労働環境に抗議し、変革を求めて立ち上がったことが功を奏したとしています。

 「ファイト・フォー・15ダラーズ」は全米の半分の州で最賃が引き上げられたことについて「尊厳を求める私たちの運動が実った」と歓迎しました。一方で物価高が続くなかで時給15ドルは最低レベルの出発点だとし、「すべての人々が健全で豊かな生活を送れるようさらに賃上げを求めていく」としています。また連邦政府が定める最賃も15ドルにするよう求めました。

 米国の最低賃金 米国では、連邦政府だけでなく、州や市など地方自治体も独自に最低賃金を導入することができ、額の高い方が適用されます。連邦政府が定める最低賃金は現在、時給7・25ドル(約830円)。2009年以来変わっていません。


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