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2021年12月30日(木)

東京・巣鴨の商店街 客足戻らず

問屋も支援して 商売にならない

 各地で商店街が衰退する中、にぎわいを保ってきた一つが、東京都豊島区にある巣鴨地蔵通り商店街です。29日、記者が歩き、年末の表情をうかがいました。新型コロナウイルスへの不安が続くなか、商店主らは「客足が戻らない」と口をそろえました。(小梶花恵、松沼環)


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(写真)一見にぎわうものの売り上げは戻らない巣鴨地蔵通り商店街=29日、東京都豊島区

 商店街はベビーカーを押した親子連れや食べ歩きをする若者、高齢者で一見、にぎわっているように見えました。しかし、地元住民や店主、店員は一様に「人は全然、多くない」と話します。

 贈答用ののりを売る店に客の姿はなく、作業する店員2人だけ。コロナの新規感染者数が減少した11月に客が多少戻ったものの、女性店員(45)は「オミクロン株の感染拡大で再び減った」と話します。

 飲食店への卸が売り上げの多くを占めますが、飲食店の営業自粛でそれも減りました。店員は「飲食店の苦境は報道されるけれど、飲食店を顧客に持つ私たちも同じように影響を受けている。問屋にも支援が必要です」と話しました。

 高齢者向けの洋服店には時おり客が訪れていました。1回目の緊急事態宣言時は売り上げが8割~9割減ったといいます。

 店主の女性(71)は「高齢者が好む商品をそろえる店は少ない。品ぞろえを好んで埼玉や茨城などの遠方からから来ていた客が来なくなった」と話しました。

 商店街を毎日散歩するという近所の女性(77)は「人はすごく減った。今年になって多くの店が入れ替わった」と話しました。

 薬局の店長は「去年は全然ダメ。今はそれよりはいいが、以前のように戻ってきてはいない」と話します。オミクロン株のニュースの影響を懸念していました。

 手焼きせんべい屋の店長は、コロナ流行後の売り上げについて「去年は7割減、今年は5割」と話します。家賃が安い場所に移りました。「まだまだ、おばあちゃんたちが全然歩いていない。高齢女性にはお土産をたくさん買ってくれる人が多く、影響が大きい。初詣客に期待したいのですが」と、先の状況を心配していました。

 真っ赤な靴下や肌着が目を引く衣料店では、店員が「お年寄りが安心して来られるように3回目のワクチン接種を急いでほしい」。

 ある衣料雑貨店には「閉店セール」の張り紙。店長は「全然商売にならない。最近少し人が出てきたが、それでも無理でした」と話してくれました。

 90年ほど前から続く帽子店の店主も「閉まる店が増えた」と話します。「帽子メーカーも問屋も激減している。景気が良くなっても、この業界にいい影響が来るのは最後になる」


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