2021年12月25日(土)
大阪ビル放火1週間
前向こうとした人 なぜ犠牲
心のケアを 献花の市民絶えず
25人の死者を出した大阪市北区のクリニック放火殺人事件から1週間となった24日、火災現場のビルの前は花を供え、手を合わせる人が絶えませんでした。(渡辺健)
|
報道陣の多さに、様子をうかがい、意を決したように花束を供え、手を合わせたまま泣き崩れてしまった女性も。息子に付き添われて訪れた女性は通院者。目頭を押さえながら無言でした。すぐ近くの別の心療内科に通っている女性(48)は「職場復帰をしようと頑張っていた人たちや、それを応援する医師が亡くなってしまうなんて。私と同じ苦しみを思うと、居ても立ってもいられず」火災現場に来ました。「いつでも診察に来てくださいと夜10時まで開けているクリニックなんて、そうないですよ。患者さんのケアを急いであげてほしい」と心配します。
死亡者の名前に知人を見つけ、岐阜市から駆け付けた60代の女性。「学校の教員として、きつい思いをしていたよう。話を聞いてあげるだけだったのが心残り。大阪に戻り、前を向いて頑張ろうと通院していたのだろうと思うと心が痛む」と花束に手紙を添えました。
「子どもに現場を見せ、心に刻んでほしい」と三重県名張市から小学5年生の息子を連れて来た女性(40)は、かつてストレスで病院に通っていたことも。「子どもに、人の痛みがわかるおとなになってほしい」と願います。
火災時に喫茶店にいたという男性(65)は「隣のビルが火事やで」という声で気付きました。焦げるような臭いがし、多数の消防車で騒然となりました。近くで店を営む男性は火災があったビルの中に入ったことも。「奥行きがある。入り口で放火されたら、逃げ場がない。犯人はいったい何を考えているのか」と憤ります。