2021年12月21日(火)
普通に暮らせる賃金に
労研が最賃シンポ
社会保険料減免など中小支援を
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労働者と研究者の経済・企業・労働と賃金に関する共同研究会(労研)は18日、東京都内で「格差是正・貧困打開 日本の未来を切り拓(ひら)く 最賃シンポジウム」を開きました。
開会あいさつで米田貢中央大学教授は、「日本の経済停滞は、労働者の賃金を切り下げすぎたことに原因がある」と指摘。最低賃金引き上げに伴う中小企業支援、普通に働いたら普通に暮らせる賃金について議論しようと呼びかけました。
黒田兼一明治大学名誉教授を司会に討論。日弁連貧困問題対策本部で活動する中村和雄弁護士は、韓国の最賃は「週休手当」を含めると日本を上回っており、政府は社会保険料減免など中小企業支援策を打ち出していると指摘しました。
中小企業家同友会経営労働委員会副委員長をつとめる山田茂・山田製作所会長は、「最賃1500円で1100万円の赤字になる。しかし、否定するのではなく目指していくべきだ」と強調。「法人税減税では赤字の中小企業に恩恵はない。社会保険負担に直接支援を期待したい」と述べました。
東京地評の白滝誠副議長は、東京都内の最低生計費調査で時給1600円~1700円が必要だと報告。「青年時代に人間らしく暮らせる人生をスタートすることは重要だ。家族をつくって働き続けるには賃上げが不可欠だ」と訴えました。
全労連・全国一般東京地本の梶哲宏副委員長は、全国一律最賃への法改正や国の公正競争確保の責任を強調。全労連の衛藤浩司常任幹事は、最賃引き上げ助成金2・7兆円、社会保険料減免4兆円など全労連の中小企業支援の提言を報告しました。
農民連の真嶋良孝常任委員は、賃下げと米価や農産物価格暴落の負の連鎖を止めるためにも最賃引き上げに期待を表明しました。
政党あいさつで日本共産党の田村智子副委員長は、「最賃引き上げとセットで中小企業を支援し、大企業の内部留保を還元させるべきだ」と強調。自民党最賃議連の務台俊介衆院議員は、「最賃引き上げの環境整備のための政策を議論し、動きを加速したい」と述べました。