2021年12月19日(日)
孫は5歳で遺族 資料黒塗りばかり
熱海土石流 被災者が交流
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静岡県熱海市の伊豆山地区を7月3日に襲った土石流の被災者が18日、交流会を行いました。「熱海市盛り土流出事故被害者の会」が取り組んだもので、17人が参加。会場にはボランティア団体によるコメや食料、衣料品などの支援物資も用意されていました。
同会副会長の太田滋さん(65)は「被災から半年近くたったいま、熱海市議会では土石流の原因解明に向けた百条委員会も設置されています。そこにも被災者の意見を反映したい。みなさんが思っていることを何でも出し合いましょう」と述べ、最初に犠牲者への黙とうをしました。
参加者は、被災当日を振り返り、いまの思いを語りました。
娘を亡くした女性(71)は「亡くなった失った子の命返してほしい。孫は5歳で遺族になってしまった。もし土石流の情報があと1分でも早かったら助かったかもしれない。あの日から地獄のような日々が続いている」と話しました。「2週間後、亡きがらが見つかったとき、あまりに損傷がひどくかろうじて確認できる程度だった。ボロボロで抱きしめてやることもできず、すぐに火葬された」と悔しい胸のうちを語りました。
男性(60)は「土石流の原因を究明してほしいが市の出した資料は膨大でどうしたらいいか…」と発言。女性の参加者は市の資料を示しながら「黒塗りばかりで誰が何をしたのか全く分からない。情報を開示してほしい」と述べました。
神奈川県湯河原町のみなし仮設住宅としてマンションに住む女性(57)は、近く娘が里帰り出産を予定しており、部屋がせまいので引っ越したいが、越すと支援のお金が出なくなるのが悩みだとうちあけました。
犬と猫を飼っている女性(56)は「熱海市はペットを飼える住宅の支援をしてくれず、今住んでいる湯河原町ではしてくれた。そういう点を改善してほしい」と話しました。
「百人いれば百の要望がある。家族を亡くした被害者と家が流失した被害者では思いも違う。新たに遺族の会もつくってほしい」という要望も出ました。