2021年11月27日(土)
大軍拡・大企業支援手厚く
給付金 必要な人に届かず
岸田内閣 補正予算案決定
岸田文雄政権は26日、2021年度補正予算案を閣議決定しました。一般会計の歳出総額は補正予算として過去最大の35兆9895億円。このうち経済対策の関係経費は31兆5627億円に上ります。財源として今年度の税収見通しを6兆4320億円上方修正し、歳入に組み入れるほか、20年度の剰余金6兆1479億円も計上。また、22兆580億円の国債を新たに発行します。12月6日召集見通しの臨時国会に提出します。
経済対策は、(1)新型コロナウイルスの感染拡大防止(2)社会経済活動の再開と次の危機への備え(3)新しい資本主義の起動(4)安全・安心の確保―の4本柱で構成。「新型コロナの感染拡大防止」には18兆6059億円を計上しました。
感染症の影響で厳しい状況にある世帯への給付金を盛り込みました。ただ対象は狭く、子育て世帯や住民税非課税世帯でなければ、コロナ禍で収入が減少した非正規雇用労働者でも受け取れません。
「安全・安心の確保」には2兆9349億円を盛り込みました。目立つのは軍事費です。補正予算案として過去最大となる7738億円を計上。防衛省が22年度当初予算案の概算要求で盛り込んだ哨戒機や輸送機、地上配備型迎撃ミサイルパトリオット(PAC3)などの武器を前倒しで調達します。沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設費用も盛り込みました。補正予算で武器を新規に取得するのは異例のこと。「経済対策」とはなんの関係もない大軍拡予算です。
「新しい資本主義の起動」には8兆2532億円を計上しました。経済安全保障の名目で先端半導体の生産企業を支援する基金を設立します。その財源として6170億円を盛り込みました。基金には台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県に建設する新工場への拠出も含まれます。大企業支援が鮮明です。
公的部門での分配機能強化として、看護・介護職、保育士などの収入引き上げのため、1665億円を計上しました。しかし、介護士や保育士などは、収入を3%引き上げる程度では、依然として全産業平均賃金より低額のままです。また、看護師の収入引き上げはコロナ対応の医療機関に勤務する者など対象が極めて限られています。効果が薄いことに加え、分断をもたらす恐れもあります。