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2021年11月12日(金)

米軍機 150メートル以下飛行か

富山・黒部ダム上空 日米合意に違反

写真

(写真)黒部ダム上空を飛行する米海軍のFA18戦闘攻撃機とみられる機体=10月18日午前10時45分ごろ(提供写真)

 富山県立山町の黒部ダム上空で10月18日、米軍戦闘機3機が相次いで低空飛行している様子が目撃されました。いずれも黒部ダムから高さ150メートル以下を飛行した可能性が高く、米軍機の低空飛行に関する日米合意に違反していた疑いが濃厚であることが、本紙と市民団体「低空飛行解析センター」の調査で分かりました。

 10月18日午前10時45分ごろ、黒部ダム上空を北から南に飛行する米軍機3機を富山市の男性(46)が展望台から撮影。男性は「突然ものすごい音が響いてきて驚いた。ここで戦闘機が飛ぶのは初めて見たし、聞いたこともない」と話します。米軍機は岩国基地(山口県岩国市)所属の米海軍FA18スーパーホーネットとみられます。

 本紙は、男性から提供された動画や証言をもとに撮影位置を特定し、同位置から高度を算出する指標となる赤牛岳などのポイントを高画質で撮影。動画から得た静止画3枚と本紙撮影の写真に基づき、低空飛行解析センターが解析しました。その結果、3機は通過順に、ダムのえん堤から高さ145メートル、117メートル、140メートル(誤差±10メートル)を飛行したことが分かりました。

 航空法の施行規則では、最低安全高度を「人家のない地域や水面上空から150メートル」などと定めています。米軍機は日米地位協定で航空法の適用を除外されていますが、1999年の日米合意は「在日米軍は国際民間航空機関(ICAO)や日本の航空法により規定される最低高度基準を用いている」と明記しています。

 黒部ダムは米軍の低空飛行訓練ルート「ブルールート」上にあり、同ルートに沿って飛行していた可能性があります。低空飛行解析センターの大野智久代表は「動画と写真に基づいた高度推測値には幅がある。今後の精密な測定が待ち望まれる」と語りました。

図

米軍機の推定位置と推定高度。○囲みの数字は通過順(低空飛行解析センターの報告書から)


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