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2021年11月9日(火)

中小淘汰 軍事優先

「新しい資本主義」提言案

政府が第2回会合

 岸田文雄政権は8日、新しい資本主義実現会議の第2回会合を開き、緊急提言案を公表しました。提言案は「当面、岸田内閣が最優先で取り組むべき施策を整理」したもので、中小企業淘汰(とうた)や経済分野での軍事優先などを盛り込みました。19日に閣議決定を予定する経済対策に反映されます。


 提言案は「成長と分配」を実現するためには社会のデジタル化やグリーン分野の成長など科学技術立国の推進が必要だと提起。民間の技術発展を「官が支援することを基本とする」としました。大企業の成長のために国が税制優遇や財政措置などで支援するということです。

 分配戦略の柱として賃上げ企業への税制優遇を盛り込みました。非正規雇用を含む全雇用者の賃金総額増加などを要件に、法人税を控除します。赤字の中小企業に対しては「補助金の要件として賃上げを考慮する」との方針を示しました。政府調達を行う際に賃上げを行う企業を優先することも検討します。

 しかし法人税は企業の利益から支払われます。6割が赤字のため法人税を納めていない中小企業には減税の恩恵がありません。

 しかも賃上げが補助金支給や政府調達受注の要件にされたら、賃上げのできない中小企業はこれまで受けてきた補助金が支給されず、政府関連の仕事まで奪われるおそれもあります。企業規模格差を広げるどころか、中小企業淘汰政策です。

 成長戦略で「経済安全保障の強化推進」が必要だと強調。戦略技術の育成や技術流出の防止などを推進します。「経済安全保障にかかる情報収集・分析・集約・共有などに必要な体制」の強化も明記。米中対立が加速するもとで、経済分野で軍事優先の体制を築くことを狙います。

 クリーンエネルギーをすすめるために、「再生可能エネルギーのみならず、原子力や水素などあらゆる選択肢を追求」するとしました。


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