2021年10月9日(土)
自民国会議員らに多額献金
日大背任事件の籔本容疑者
日本大学医学部付属病院の建設工事をめぐる背任事件で東京地検特捜部に逮捕された籔本雅巳容疑者(61)と同容疑者が理事長をしていた医療法人「錦秀会」(大阪市)が、自民党などの国会議員6氏に多額の政治献金をしていたことが8日、本紙の調べで分かりました。取材に複数の議員が献金を返却する意向を示しました。何の目的で多額の献金をしていたのか、解明が求められます。(社会部「政治とカネ」取材班)
公益財団法人「政治資金センター」が所蔵する政治資金収支報告書などをもとに調査しました。
献金、パーティー券代が確認できたのは、自民党所属議員では、中山泰秀前防衛副大臣、田村憲久前厚生労働相、石破茂元幹事長、松川るい前防衛政務官。無所属では、自民党二階派の細野豪志元環境相、自民党参院会派の桜井充元厚労副大臣です。主に大阪から選出された議員と、厚生労働行政に関係する議員です。
3年で672万円
最も献金が多いのは中山前防衛副大臣です。2017~19年までの3年間で、籔本容疑者個人、同容疑者が理事長だった錦秀会、兵庫錦秀会から献金、パーティー券代として計672万円を受け取っています。
厚労相を2度経験した田村氏は、14年に錦秀会から計80万円もらっています。本紙の取材に、田村氏は籔本容疑者とは民間の勉強会で出会ったとしています。その後、勉強会主催者の呼び掛けで支援してもらうことになり献金を受け取ったといいます。田村氏は「返金の手続きを進める」としています。
石破茂元幹事長が代表の党支部と資金管理団体には、12年、14年、17年に献金とパーティー券代で計130万円が渡っています。松川前防衛政務官も自身の党支部で16年に20万円を受けています。
細野元環境相は資金管理団体に籔本容疑者から13年に3万円の献金があります。同氏の事務所は「(籔本容疑者が)逮捕されて連絡がつかない状況なので、返金は連絡がとれた段階で検討する」としています。
桜井元厚労副大臣は、15年に関連政治団体で計6万円をもらっています。同氏の事務所は「(桜井氏の)医療法制に賛同いただき、寄付をもらった」とし、「現在、返金手続き中です」としています。
錦秀会は大阪府内と神戸市に病院や介護施設など計約30施設を持つ巨大グループです。献金を受けた政治家の秘書は「大阪では大きなグループで、厚生労働系の議員とは付き合いがあるのでは」と語ります。検察担当のベテラン記者は、「籔本容疑者は大阪の繁華街の北新地で豪遊するので有名だった」と言います。
国から補助金
錦秀会は16年度に経済産業省の電気・熱エネルギー高度利用支援事業費補助金2000万円を交付されています。献金と補助金に関係がないか解明が求められます。
籔本容疑者側からの献金
中山泰秀前防衛副大臣 672万円
田村憲久前厚労相 80万円
石破茂元幹事長 130万円
松川るい前防衛政務官 20万円
細野豪志元環境相 3万円
桜井充元厚労副大臣 6万円
(判明分、献金とパーティー券代の合計)