2021年10月6日(水)
ノーベル物理学賞 真鍋淑郎氏ら3氏
地球温暖化予測などに貢献
スウェーデン王立科学アカデミーは5日、2021年のノーベル物理学賞を、気候の物理モデルの開発を主導し地球温暖化の予測に貢献した米プリンストン大学の真鍋淑郎(しゅくろう)上席研究員と独マックスプランク気象研究所のクラウス・ハッセルマン教授、複雑系の理論を発展させた伊サピエンツァ大学のジョルジョ・パリージ教授の3氏に授与すると発表しました。
3氏は、複雑なシステムの無秩序な事象を理論化する革命的な貢献が評価されました。
真鍋氏は、大気中の二酸化炭素濃度の上昇が地球の表面温度の上昇にどのように影響を与えるのかを示しました。1960年代、世界に先駆けて、対流によって空気が垂直輸送される現象や水蒸気の潜熱の効果を取り込んだ物理モデルを開発しました。
ハッセルマン氏は、気象と気候を結びつけるモデルを作成。人間活動による二酸化炭素の排出が大気中の温度を上昇させることを証明することに貢献しました。
パリージ氏は、無秩序で複雑な現象に隠されたパターンを発見して、さまざまな分野の理論に貢献しました。
真鍋氏は1931年生まれ。東京大学で学位取得後、米海洋大気局(NOAA)で気候研究に従事。地球の複雑な気候システムを知るための気候モデルの基礎を築きました。
日本人のノーベル賞受賞は計29人に(米英国籍を含む)。物理学賞は梶田隆章氏(15年)以来で、今回で計12人になりました。