2021年9月18日(土)
阪大、非常勤講師を直接雇用
準委任契約から切り替えへ 労組要求実る
共産党が国会質問
大阪大学が、雇用契約ではなく準委任契約としてきた非常勤講師について、実態に応じて直接雇用の労働契約に切り替える方針を示したことが、17日までに分かりました。正規教職員と非常勤講師の労働組合が共同で要求し、日本共産党が国会で追及した成果です。
阪大は「非常勤講師の委嘱等について」と題した人事労務担当理事名義の文書を16日付で講師に通知。「準委任契約を締結した者を個別の実態に応じて労働契約に切り替えることを視野に入れた制度設計に早急に取り組む」としています。
阪大は8月、非常勤講師の無期雇用への転換を逃れるため、次の契約までに半年のクーリング(空白)期間の設定を非常勤講師に通知。これに対し、関西圏非常勤講師組合は9月9日、大阪府庁で会見を開いて告発し、そもそも直接雇用だと認めていないのは不当だと主張しました。
阪大は翌9月10日、クーリング期間通知を撤回。16日の部局長会議で直接雇用化の方針を決めました。
阪大広報は本紙に、「教育の質的保証のため、大学が主体性と責任をもって授業を実施する体制をいっそう整備する」と説明。無期転換については「これから制度設計するので、詳細は決まっていない」としました。
関西圏非常勤講師組合の新屋敷健委員長は、「阪大が労働契約を提起したことは評価できる。全員を直接雇用とすべきだ。無期転換の10年引き延ばしや雇用上限はやめ、5年で無期転換すべきだ。阪大教職員組合と共同で団体交渉を実施したい」と語りました。
日本共産党の宮本徹衆院議員は6月4日の衆院厚生労働委員会で、阪大の事例について「成績評価を行っている講師は、請負契約や委託契約で働かせることはできない」と追及。文科省の川中文治大臣官房審議官は、「阪大に事実確認を行っている。全国の大学に適切な対応を求める」と答えていました。