2021年9月15日(水)
レーダー
総裁選一色は公正か
「激戦必至 どうなる自民党総裁選 ○○氏が生出演」「総裁選レースさらに混迷 △△氏を生直撃」―テレビが、自民党総裁選の候補者を競い合うように出演させ持ち上げています。
たとえば、高市早苗前総務相が生出演した10日の日本系「スッキリ」。13年ぶりの女性候補と紹介、破綻したアベノミクスを継承・発展させるという「サナエノミクス」なるものを宣伝させました。
岸田文雄前政調会長が生出演した9日のフジ系「バイキングMORE」は、「バイキング版#岸田BOX」を用意するなど迎合した進行ぶり。このなかで注目したのは、タレントの薬丸裕英氏が「菅内閣のときに、助言したり、内部から声をあげることはできなかったのですか」と質問したこと。岸田氏は、「声が届いていないようにとられたのなら、深刻に受け止めないといけない」と弁解しましたが、「この間、何をやっていたのか」というのは国民の率直な疑問でしょう。
そして10日の朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」のコメンテーター、同局社員の玉川徹氏。各候補者がテレビなどで「こういうことをやります」と言っているが、「この1年半のコロナ対策の何がダメだったのか、総括してもらわなかったら同じことを繰り返すことになる」と指摘しました。
岸田氏、高市氏、河野太郎ワクチン担当相など、いずれも安倍・菅政権で党や内閣の要職を務め、悪政に共同責任がある面々です。テレビは、コロナ対策そっちのけの自民党の“表紙替え”、総選挙に向けた盛り上げに手を貸すのではなく、公正・公平な報道に徹すべきです。(藤沢忠明)