2021年8月30日(月)
主張
臨時国会召集要求
コロナから命守る審議今こそ
緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が全都道府県の7割に広がるなどコロナ感染爆発は止まりません。菅義偉政権の無為無策をただし、命と暮らしを守るための緊急対策が必要な時に、国会が開かれていないのは大問題です。野党4党が7月半ば、コロナに一丸となって立ち向かうため臨時国会召集を求めたのに、菅政権は1カ月以上過ぎても応じません。国民の命が危機にある今こそ、国権の最高機関の国会が審議を行い、英知を集めて事態打開へ役割を果たさなければなりません。菅政権は直ちに国会を召集すべきです。
説明責任の放棄許されぬ
菅政権のコロナ対策で致命的なのは、国民に説明する姿勢がないことです。1月以降、緊急事態宣言発令などで首相が国会に報告する機会は22回あったのに、首相が出席したのはわずか2回でした。国民に制約を求める時には、国会での時間をとった審議を通じて丁寧に説明することが最低限必要です。国会への出席をないがしろにすることは行政府の長としての首相の責任を投げ捨てるものです。
首相は記者会見には応じますが、そこでの言葉も国民に届きません。25日の記者会見では、「明かりが見え始めた」などと危機的な現実からかけ離れた発言までしました。東京五輪を強行したことで感染を急拡大させたことにも反省がなく、引き続きパラリンピックを開催したことも重大です。大規模イベントを進める一方で、国民に我慢を求めても信頼も協力も得られません。首相の認識をただす審議が急がれます。
現実を見ない菅政権の姿勢からは有効な対策も出せません。政府は27日、予備費1兆4226億円の使途を閣議決定しました。医師会などが求めている「臨時の医療施設」増設は明記されませんでした。政府は緊急包括支援交付金などをあてるなどといいますが、現場のニーズとスピードに見合う規模になる保証はありません。
自宅療養者は10万人を超え、病状が急激に悪化し、自宅で亡くなる人も相次いでいます。命を救うための手だてを講じさせる議論が求められます。
繰り返される営業自粛・休業の要請によって飲食業は死活的な状況です。東京では今年に入ってほとんどの期間が緊急事態宣言下に置かれています。政府の補償は全く足りません。持続化給付金と家賃支援給付金の再支給を実現させることが必要です。ワクチン接種も首相が言うような楽観できる状況ではありません。若い人たちが混乱なく接種できるように体制を見直すべきです。感染の速度に検査が追い付いていない事態の解決も図らなければなりません。
憲法上の義務を果たせ
野党が臨時国会の召集を求めた時、全国の新規感染者は1日約3400人でしたが、いまや2万5000人超の日もあります。全国の重症者は2000人と最多を更新しました。戦後かつてない危機に国会がいつまでも手をこまねいている場合ではありません。
野党の臨時国会召集要求は憲法53条に基づくものです。内閣には憲法上の召集義務があります。
自民党は9月に総裁選を行う日程を正式に決めましたが、いま最優先に行うべきは臨時国会ではないのか。自民党の立場が厳しく問われています。