2021年8月24日(火)
教員免許更新制 廃止へ
中教審小委に「まとめ案」
文部科学省は23日、教員免許更新制度のあり方を議論している中央教育審議会(文科相の諮問機関)の小委員会に、同制度の廃止を柱とした「審議まとめ案」を示しました。ただ、教員の研修受講履歴の記録・管理システムの構築が廃止の条件とされており、履歴に基づく教員への管理・統制が強まる恐れもあります。
免許更新制は、学校現場の統制強化を狙う第1次安倍晋三政権下で導入されました(2007年法制化、09年実施)。10年ごとに大学などで30時間以上の更新講習を受講しなければ免許が失効し、公立学校教員は職も失います。
教職員の多忙化に拍車をかけるとともに、退職教員の免許が失効することで産休育休の代替教員確保の障害にもなっています。文科省の今年の調査では半数超の教員が「廃止すべき・意義を感じない」と回答しました。
「まとめ案」は、10年に1度の更新講習では最新の知識や技能と整合せず、研修受講履歴の記録・管理などによって免許更新制の役割は代替可能だと指摘。教員不足の原因になっていることなど制度が抱える課題の解消も困難だとし、文科省が制度の「発展的解消」について検討することが適当だとしました。
一方、研修受講履歴の管理のため教員一人ひとりへのID(識別番号)付与を明記。一定水準の研修を受けていないと教育委員会や学校管理職が判断した教員に対しては受講を命じ、従わない場合は職務命令違反で懲戒処分の対象とすることもあり得るとしています。