2021年8月10日(火)
長崎からすべての国の政府への手紙
原水爆禁止世界大会実行委員会
原水爆禁止2021年世界大会―ナガサキデー集会で発表された「長崎からすべての国の政府への手紙」は次の通りです。
76年目の長崎原爆の日にあたって、原水爆禁止2021年世界大会に参加した私たちは世界のすべての政府に、「核兵器のない平和で公正な世界」を実現するために行動するよう訴えます。
広島・長崎の被爆者が自らの体験を語ることを通じて警告してきたように、核兵器の使用は人間の命と尊厳を根底から否定します。その使用は、いかなる理由によっても許されません。しかし、世界にはいまなお1万3000発もの核兵器が存在し、人類は核兵器による絶滅の脅威にさらされています。それだけに、一刻も早く核兵器を全面的に禁止し、廃絶することは為政者としての責務です。私たちは今年1月に、核兵器を違法化する核兵器禁止条約が発効したことを心から歓迎しつつ、すべての政府が、核兵器廃絶へと前進するためにいっそう努力することを訴えます。
COVID―19パンデミックの終息や気候変動への対策、貧困問題など、グローバルな危機を解決し、人々の命とくらしを守るために、世界は力を合わせなければなりません。核大国が軍事力で威嚇し合うようなことは直ちにやめるべきです。核兵器で守られる平和や安全はなく、核戦争に勝者はありません。いまこそ核兵器の使用を前提にした「核抑止」政策を放棄すべきです。
国連総会第1号決議に示されたように、核兵器の廃絶は戦後国際政治の出発点です。核軍備撤廃への交渉の義務は、核不拡散条約(NPT)によって核兵器国を含むすべての締約国が一致して受け入れたものです。すべての締約国には、この条約と再検討会議での合意を誠実に履行する義務があります。
したがって私たちは、すべての国の政府が以下の行動をおこすよう訴えます。
――核兵器の非人道性を告発する活動を積極的にすすめること。これに尽力する被爆者、核実験被害者や市民社会の活動を支援すること。
――核兵器禁止条約を支持し、署名と批准をすみやかに行うこと。
――核兵器の増強・近代化など核軍備撤廃に逆行する行動をただちに停止し、「核抑止」政策を放棄すること。
――第76回国連総会をはじめ、国際的な軍縮審議と交渉の機会に、核兵器廃絶にむけて誠実に努力すること。
――NPT第6条の核軍備撤廃の交渉義務とともに、自国核兵器の完全廃絶の「明確な約束」や、核兵器のない世界実現への「枠組みをつくる特別の努力」、中東非核兵器地帯の設立など、NPT再検討会議のこれまでの合意を再確認し、その履行とさらなる前進をはかること。
――国連憲章と国際法を順守し、武力紛争とそれにつながる一切の行動をただちに停止すること。
核兵器のない平和で公正な、そして持続可能でジェンダー平等の世界を実現するためには、諸国政府と市民社会の共同が不可欠です。私たちはあなた方とともに行動します。