しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2021年8月9日(月)

五輪が閉幕

大会関係者449人が感染

無断外出しても「抜け出していない」と組織委

「バブル」は機能せず

 新型コロナウイルスの感染が急拡大するなか、東京五輪が8日、幕を閉じました。7月以降に感染が確認された大会関係者は449人に上ります。政府は大会関係者を外部と遮断する「バブル方式」で感染対策をするとしてきました。バブルの中で感染が拡大し、機能を失ったことが明らかになりました。(五輪問題取材班)


写真

(写真)五輪閉会式の会場、国立競技場を見に訪れた人たち=8日、東京都渋谷区

 五輪組織委員会と内閣官房が8日正午までに公表した合宿地を含む大会関係者の感染は、合計449人です。感染者数は右肩上がりに増えてきました。ここ1週間の平均は、1日あたり約24・7人となっています。

本紙に珍回答

 組織委の公表では、▽委託業者が236人▽IOC(国際オリンピック委員会)の関係者らが109人▽選手は29人―などとなっています。

 感染が確認された大会関係者は組織委が用意したホテルに隔離されます。7月末には、「陽性」と判断されホテルに隔離されていた大会関係者が、抜け出す“事件”が発生しました。検査を受けるため、突然、大会の専用車を呼び、クリニックに行ったというのです。

 五輪の参加規則集「プレーブック」は、「ホテルの外に出ることはできません」と定めています。抜け出しは明らかに規則違反です。

 ところが組織委は本紙の質問にホテルから勝手に出たことで本人を厳重に注意したことを認めながら、「施設を抜け出した行為ではありません」とメールで回答してきました。無断外出したのに、抜け出してない、というまさに珍回答です。

 選手村でも感染が広がりました。アーティスティックスイミングのギリシャ代表団からは選手4人と役員1人の感染が判明。選手は選手村に滞在しており、組織委は「クラスターと言わざるを得ない」としています。

 選手村で感染リスクを高める行動もありました。選手村内の路上で複数の選手、選手団役員が飲酒し、トラブルになっていたのです。組織委はスタッフ1人が現場から移動する際、転倒して足を負傷したとしています。

影響どこまで

 五輪開催前から選手村内の公園で飲み会が開かれることが懸念されていました。飲み会は感染リスクが高まるからです。他方で、組織委は選手村内に酒類を持ち込むことは認めていました。記者団から「選手村内の公園で飲み会があったらどうするか」との質問に、組織委の担当者は「アルコールを飲んでいるかどうかわからないから…」などと言葉を濁していました。

 組織委の武藤敏郎事務総長は1日の会見で、ここまでのコロナ対応を「想定内のレベル」との認識を示しました。ただ、もともと「想定」している内容を明らかにしていません。感染者の国や競技名だけでなく、感染経路や濃厚接触者の数も非公表です。感染者449人以外に、影響がどこまで広がっているかは不透明なままです。

グラフ

pageup