2021年7月6日(火)
ウガンダ選手陽性
泉佐野市担当者が証言
空港1人陽性→濃厚接触判定なくバス8時間→到着後1人陽性
「国の手引で対応」
“五輪ありき” 選手・市民を危険に
東京五輪・パラリンピックで来日したウガンダ選手団から新型コロナウイルスの陽性者が確認された問題で、政府の対応が問われています。受け入れ業務にあたったため濃厚接触者と判定された受け入れ自治体の担当者が5日までに本紙の取材に応じ、「市の対応は国の手引に沿ったものだった」と証言しました。(山本眞直)
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証言したのは、事前合宿受け入れで成田空港から大阪府泉佐野市まで引率し、選手団を支援した担当者です。
濃厚接触15人に
ウガンダ選手団は空港検査で1人の陽性が確認された後、濃厚接触者の判定がされないままバスで約8時間かけて泉佐野市に移動。到着後、さらに1人の陽性者が確認され、選手と市職員も含めてバス運転手ら15人が濃厚接触者と判定されています。
この経過について、東京五輪組織委員会の幹部は報道番組で「8時間のバス移動は想定外」と発言しましたが…。
担当者によると、選手団は当初、関西国際空港に到着が予定されていました。コロナの影響で便がなくなり、急きょ成田空港に変更されました。担当者は「やむなくトイレ付きの貸し切り大型バスで移動した。選手は途中一度もサービスエリアなどで下車していない。成田空港には内閣官房の担当者も複数、姿を見せていた」と証言し、こう続けます。
「接触うんぬんと言われるが、選手を放っておけない。ハグはもちろん飲食を共にしたこともなく、接近するときは双方がしっかりとマスクもして対応している。いずれも国の手引通りで、市の対応に瑕疵(かし)はなかった」
内閣官房が作成した受け入れ自治体向けの手引では、濃厚接触者の特定は、受け入れする都道府県などの保健所が担当することになっています。泉佐野市はこの手引に従った、というのです。
政府の計画があいまいだったため、結果的に選手や市職員らに大きな負担をかけることとなりました。「選手の貴重な練習時間を奪い、申し訳ない。家族にも気を使わせすまないと思う」とこの担当者は語ります。
政府の謝罪なし
他方、政府からは泉佐野市への公式な謝罪、説明はないと言います。
市役所を訪れた弁当業者の男性(76)は、「政府の五輪ありきの、ずさんな水際対策の犠牲で、職員らがつらい目に遭っている。イギリスではサッカーの試合観戦で感染者が急増している。五輪は中止せなあかん」と話しました。
日本共産党の高道一郎市議は「今回の問題は、入国後に14日間待機するという規定を緩和し、五輪選手を特別扱いしたことで起きた。『命よりも五輪』という政府の構えが生み出したものだ。選手や市民を危険にさらす五輪は中止すべきだ」と力を込めました。