2021年6月16日(水)
スイス全土で女性スト
“真の男女平等まだ遠い”
賃金格差12%、年金額は3分の2
【ベルリン=桑野白馬】スイス各地で14日、男女の賃金平等や女性への暴力・差別撤廃を求めて、女性らが家事や仕事をやめる「女性スト」を行いました。抗議を示す紫色の衣服やハンカチを身に着けた参加者は、「良い仕事のために平等な職場環境を」「わたしに『ほら、笑って』なんて声をかけないで」と書いたプラカードを掲げ、音楽に合わせて踊りながら行進しました。
スイス労働組合連盟(SGB)によると、全国約40都市で10万人以上が街頭に繰り出しました。首都ベルンの広場では、新型コロナウイルス対策として、横断幕やプラカードを利用して社会的距離を取りながら、人間の鎖で団結を演出。「子育てに、もっと時間とお金が必要だ」と唱和しました。
2016年の政府統計によると、女性の月額賃金の中央値は6011スイスフラン(約73万5000円)です。男性6830スイスフラン(約83万5000円)と比べ、約12%の格差があります。民間企業に対象を絞ると14・6%にまで拡大します。
特に雇用機会の不平等の結果として男女の年金格差は深刻です。女性は子育てなど無給の「仕事」やパートタイム労働に従事する割合が高く、平均で男性の年金額の3分の2しかもらえません。SGBは、格差解消には80年かかると指摘しています。
スイスでは今年、女性が初めて選挙権を獲得してから50年を迎えました。国民投票で男女平等が憲法で保障されてから40年、史上初の全国女性ストから30年の節目の年です。
SGBは声明で、「真の平等には依然として遠い」と指摘。「有給、無給にかかわらず、主に女性が担っている仕事に対する報酬の増額と、認識の向上が早急に求められている」と強調しました。
今回のストの広報担当、ザビーネ・シュバイツァーさんは「20ミヌーテン」紙のインタビューに対し、コロナ禍で女性が担う仕事の重要さが明らかになったとして「今こそ結束を示し、待遇改善を訴える時だ」と話しました。