2021年5月23日(日)
特定商取引等改定案に対する大門議員の質問(要旨)
参院本会議
日本共産党の大門実紀史議員が21日の参院本会議で行った特定商取引等改定案に対する質問(要旨)は次の通りです。
改定案は全体として消費者保護に必要な改正ですが、昨年末、急きょ盛り込まれた書面交付の電子化は大問題です。今まで訪問販売やマルチ商法など消費者被害の多い取引に関しては、契約書は紙の書面で交付することが義務付けられてきました。ところが今回、業者がメールなどで送り付けた電子書面に承諾のボタンを押せば契約が成立したことにするというのです。
ジャパンライフ事件では、お年寄りはだまされていることに気づかず、家族が調べたらジャパンライフの契約書が見つかり被害が発覚した事例が数多くありました。契約書が紙で残っていたからこそ弁護士がジャパンライフを訴えることもできました。紙の契約書が消費者被害を食い止めてきました。その中で悪徳業者に電子書面での契約を許すなど、やくざに凶器を与えるようなものです。
現在、160をこえる全国の消費者団体、弁護士会などから、書面交付の電子化に反対する意見書が上がっています。消費者相談の現場で苦労されている方々から猛反対される法案を提出したこと自体、消費者担当大臣として失格です。
消費者庁は、今回の法改定を含めて消費者団体からの信頼を失ってきています。その原因は、歴代の消費者担当大臣と消費者庁幹部が消費者保護の立場に徹しきれなかったことにあります。
しかし、衛藤晟一大臣は「消費者庁がジャパンライフの被害を防ぐことができなかったのは事実」と反省の言葉を述べ、預託法などの改正についても「その方向で走っていきたい」と約束されました。そして出てきたのが、消費者保護を前進させるいい内容の改正案でした。
ところが井上大臣が書面の電子化を入れ込み、せっかくのいい改正案に、泥を塗ってしまったのです。
菅総理がデジタル化、すなわち紙をなくすことを看板に掲げるもとで、あなたは消費者よりも総理の方向をむいて、紙をなくした成果を示したかったのではありませんか。
しかし、その菅総理は「指摘があったので検討させてもらいたい」と答弁。麻生財務相も私に「ご指摘のとおりだ。井上大臣に大門先生に相談したらどうかと言っておいた」と答えました。
菅総理や麻生副総理からの指示は、政省令でしっかり歯止めを、ということだったと聞いています。しかし、政省令では被害の拡大を確実に防げる保証はありません。本気で被害防止を考えるなら、そんな小細工を弄(ろう)するより、書面電子化の部分をきっぱり法案から削除すべきです。