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2021年5月22日(土)

きょうの潮流

 言葉の刃(やいば)が心を深くえぐる。指先ひとつの悪意が人を死にまで追いつめる。「毎日100件近く率直な意見。傷ついたのは否定できなかったから。弱い私でごめんなさい」▼こんなメッセージを残し、プロレスラーの木村花さんが22歳の命を絶ってから、あすで1年がたちます。出演したテレビ番組の過剰な演出が原因となり、ネット上で執ようにくり返されたひぼう中傷。それは彼女の死後も続きました▼「あんたの死でみんな幸せになったよ、ありがとう」。そうツイッターに書き込んだ長野県の男性を、花さんの母響子さんが訴えた裁判で東京地裁は129万円の賠償を命じました。「ひぼう中傷で悩んでいる人たちにこの裁判の結果が救いの糸口になればと思う」▼急速に普及したツイッターなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)。人びとをつなぎ社会を動かす大きな力になる一方で、他人を傷つけ、分断する攻撃が後を絶ちません▼こうした被害を救う一歩として今年4月、国会ではプロバイダ責任制限法改正案が全会一致で可決されました。政府や権力の介入を退け人権に配慮しながら、ネットの自由な表現活動をどう保障していくか。社会全体の模索が続いています▼人にやさしかったという花さん。生前、みずからの職業を通して若い人たちの可能性を伝えていきたいとよく話していました。「花が望んだやさしい世界に少しでも近づけるように」。愛のあるSNSになってほしい―。響子さんの思いです。


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