2021年5月21日(金)
被爆建物 耐震化で保存へ
広島県 「旧陸軍被服支廠」利活用を検討
住民の訴え・署名 相次ぐ
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広島市南区に残る最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」(国1棟、県3棟保有)について、広島県は19日、県が保有する3棟のうち、2棟を解体する現行方針案から3棟を耐震化した上で、利活用策の検討を進めるとの方針を明らかにしました。
国からの支援を受けるため、重要文化財の指定に向けて、国内最古級RC造建築物群であり、被爆の実相を未来に伝える建物であることを最も重視しながら、国、県、広島市で設置した「旧陸軍被服支廠の保存・継承にかかる研究会」の場で、具体的な利活用を検討していくとしています。
県は2019年12月、老朽化などを理由に「2棟解体、1棟の外観保存」との計画原案を突如、発表しました。被爆者をはじめ、県内外からも方針の撤回や見直しを求める怒りや驚きの声とともに、保存・活用を検討してほしいなどの訴えや署名などが相次いで県へ寄せられました。
日本共産党の辻恒雄県議はただちに、県原水協や県被団協(佐久間邦彦理事長)、原爆遺跡保存運動懇談会(高橋信雄副座長)の人たちと、県へ全棟保存を要請。
笠井亮、本村伸子両衆院議員と井上哲士参院議員も全棟保存・活用できるよう政府に要請した後、大平よしのぶ前衆院議員・衆院中国ブロック比例予定候補、辻県議、広島市議団とともに現場を訪れ4棟を視察。昨年4月には、井上参院議員が参院外交防衛委員会で全棟保存・活用を強く求めました。
被服支廠は、日清・日露戦争以降軍都、軍港として侵略戦争推進の出撃基地を担った広島で、1913年に建設されました。鉄筋コンクリート造りで高さ約15メートル、長さは約400メートルにも及びます。レンガ造りから鉄筋コンクリートに移行していく過渡期の貴重な建物です。