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2021年5月11日(火)

論戦ハイライト

国民の命と暮らし守れ

衆参予算委

 10日の衆参の各予算委員会で、新型コロナウイルスから国民の命と暮らしを守るための対策について政府をただした日本共産党の清水忠史、山添拓両議員。目の前のコロナ対策に集中し、東京五輪の中止を決断するよう訴えました。

「大阪へ医師・看護師 広域搬送も」

清水議員

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(写真)菅首相らに質問する清水忠史議員(左)=10日、衆院予算委

 清水氏は衆院予算委員会で、新型コロナウイルスの影響で医療体制が逼迫(ひっぱく)している大阪府の問題について、必要な医療支援など具体的な対策を講じるよう求めました。

 清水氏は、大阪では重症病床使用率が100%を超え、自宅やホテルでの療養者が1万6千人に上ると指摘。「全感染者のうち9割が入院できず、救急車を呼んでも搬送先の病院が見つからない事態だ」として、政府の責任を追及しました。

 大阪の深刻な重症病床不足について清水氏は、医師・看護師の人材不足が原因にあると指摘。「大阪だけでは医療資源が枯渇している状況だ」と述べ、全国から医師・看護師を派遣するよう求めました。あわせて、重症患者の県境を越えた広域搬送の調整が必要だと迫りました。

 清水 看護師だけでなく医師を派遣し、広域搬送を調整すべきだ。

 田村憲久厚労相 医師は調整が難しく看護師のようにはいかない。広域搬送は非常に時間がかかるため難しい。

 清水 できないという答弁じゃないか。

 清水氏は、菅義偉首相が東京五輪・パラリンピックのために500人の看護師を派遣することは可能だと発言していることを批判。広域搬送については「時間がかかるというが、搬送先がみつからず47時間も救急車で過ごした人もいる。他府県への搬送は国が責任を持ってやるべきだ」と強調しました。

 清水氏は、自宅療養患者の命をつないでいるのは「目の前の命を救うために訪問診療をしている医師の奮闘だ」と指摘。コロナ患者を往診するには1件あたり1時間を要する現状の中で、現場からは「今の診療報酬では見合わない」「加算してほしい」との声が上がっていると強調しました。

 清水 政府が訪問診療の実態調査を行い、十分な支援をするべきだ。

 首相 診療報酬については当然そうしたことは設けるべきだと思う。

 清水氏は、神戸市や大阪府門真市の高齢者施設でクラスターが発生し、二つの施設だけで38人が死亡するなど深刻な実態があると指摘。「どのように国民の命を守るのか。その答えは現場にある」と述べ、医療・介護従事者から直接要望を聞くよう求めました。

「五輪中止、コロナ対策集中こそ」

山添議員

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(写真)参院予算委で質問する山添拓議員(右)=10日

 山添氏は参院予算委員会で、「東京五輪・パラリンピックを中止し、コロナ対策に集中を」と求めました。

 山添氏は、高橋洋一内閣官房参与が各国の新規感染者のグラフを上げ「日本はこの程度の『さざ波』。これで五輪中止とかいうと笑笑」とツイートしたことを批判し、同じ認識かと追及。菅義偉首相は「個人の主張について答弁を控える」としか答えず、山添氏は「こうした認識の方が政策決定に関与しているのが大問題だ」と批判しました。

 山添氏は、組織委員会が看護師約500人の派遣を要請したことについて、愛知県医労連が「#看護師の五輪派遣は困ります」と呼びかけたツイートが42万超に上ったと指摘。ある医療機関では、紹介会社に年1千万円支払って看護師派遣を要請しても、コロナで逼迫(ひっぱく)し紹介されないなど深刻な実態を示しました。

 山添 この声に正面から向き合うべきだ。

 田村憲久厚労相 推計70万人以上いる潜在看護師の掘り起こしもお願いしている。

 山添 現場の悲痛な叫びに向き合っていない。介護や育児などの事情で休んでおり、簡単な話ではない。

 山添氏は、ホストタウンに登録している全国525自治体では事前合宿や地域交流が予定されており、検査体制の確保や陽性者への対応が負担となっていると強調。ホストタウンを辞退した自治体は約20に上り、「コロナ対応、ワクチン対応に懸命な自治体にさらなる負担をもたらす」と厳しく批判しました。

 山添氏は、変異株が猛威を振るうインドではカヌーの代表チームが予選出場を断念するなど、各国の感染状況やワクチン接種に格差があり、辞退が広がると指摘。「フェアでない五輪は、いかなる差別も伴うことのない友情・連帯・フェアプレーを掲げる五輪憲章に反する」と主張しました。

 山添氏は、日弁連元会長の宇都宮健児さんが呼びかけた五輪開催の中止を求めるネット署名への賛同が30万人を超え、「読売」の世論調査も6割近くが「中止」と回答したと示しました。

 山添 国民の声を無視してつき進むのか。

 首相 感染対策を講じ、安心して参加できるようにする。

 山添氏は「中止の検討すらせず、主体的に判断しようとしないのはあまりに無責任だ」と迫りました。


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