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2021年5月3日(月)

主張

憲法施行74年

「壊憲の政治」を終わらせよう

 日本国憲法は1947年の施行からきょうで74年です。新型コロナ感染の急拡大に歯止めがかからず、国民の命と暮らしが脅かされる中で、憲法の理念を守り生かす政治の実現が重要になっています。菅義偉政権は、憲法をないがしろにする政治を続け、安倍晋三前首相が打ち出した明文改憲を目指す姿勢を変えようとしません。「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」(前文)と決意した憲法を敵視する政権をこれ以上続けさせてはなりません。憲法にもとづく国民本位の政権をつくるため、力を尽くそうではありませんか。

命と暮らしを守る土台

 菅政権のコロナ対策での無為無策は、「第4波」を深刻化させています。危機的事態を招いたのは、憲法が明記する諸権利を国民に保障する立場に政府が立っていないからです。憲法25条は生存権保障と、社会保障・公衆衛生増進義務を国に求めています。これに照らせば、PCR検査の大幅拡大や、医療体制の拡充に、政府は責任を果たさなければなりません。

 休業要請などと一体の十分な補償も、財産権を定めた憲法29条を根拠とする国民の権利です。憲法13条がうたう個人の尊厳と幸福追求権は何より大切にされなければなりません。コロナ禍の女性の苦境打開でも、憲法の精神によるジェンダー平等推進が不可欠です。

 菅政権は、学問の自由の重大な侵害である日本学術会議への人事介入を撤回せず、相次ぐ金権疑惑や政治の私物化など、憲法破壊の政治に反省がありません。

 4月の日米首脳会談では、バイデン米政権に「自らの防衛力を強化」することを誓約し、日米軍事同盟にもとづく大軍拡を推進する姿勢を鮮明にしました。共同声明で台湾問題を明記し、日本の軍事的関与の危険性を高めています。米国の戦争に自衛隊の参加を可能にしている安保法制=戦争法を廃止し、立憲主義を回復させることがいよいよ急務です。

 菅首相は訪米した際、米誌『ニューズウィーク』のインタビュー(電子版4月19日付)で、「(憲法は)現実に追いついていない」と述べ、明文改憲の意向を隠しません。憲法9条に自衛隊を書き込む改憲案を持ち出した安倍前首相を自民党改憲推進本部の最高顧問に就任させるなど改憲の流れを加速させようとしています。

 自民・公明などは、連休明けにも衆院の憲法審査会で、改憲のための国民投票法の改定案を採決しようとしています。コロナ危機に乗じ“火事場泥棒”のように採決を急ぎ、国民多数が求めていない改憲を推進することは絶対に許されません。

公布75年の節目の年に

 今年の11月3日は、憲法が公布された1946年から75年です。節目の年を改憲ではなく、憲法を守り生かす年にするかどうかが問われています。大軍拡など9条を実質的に空洞化させる動きと一体になった明文改憲の策動は、日本を戦前のような「戦争する国」に引き戻す時代逆行の企てです。

 憲法の平和的民主的条項をはじめ全条項が完全に実施される政治を目指し、市民と野党が力を合わせることが求められます。来たる総選挙で、憲法を壊す「壊憲の政治」に終止符を打ち、新しい政治を切り開きましょう。


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